表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しゃねるのにっき  作者: しゃねるちゃん
3/9

8月9日

最近日に日に睡眠時間が短くなっている。

私は昔から、中身のない人生を送っている時ほど睡眠時間が短くなる傾向にある。

これを書いているのは8月9日の朝5時半だが、夕べ見た夢について忘れる前に書いておきたい。

何故か昔から見た夢を忘れてしまうのは惜しく感じるのだ。


私は生まれ故郷、山梨の田舎で中学校に通っていた。

その日は何かのイベント?社会科見学?でとあるスーパーの裏、商品の立ち並ぶ倉庫に向かうため、朝早くに家を出た。

皆が自転車で目的地に行く中、私は一人歩いていった。途中で自転車で来るべきだったと後悔しかけたが、気にしないことにした。

初冬の夜明けの空は薄暗く、相応しい凍てつく空気の中で、畑と畑の間に舗装されたコンクリートの一本道を私はひたすら歩く。

私はその中で、このまま歩き続ければ目的地にたどり着けるのだろうか、この道は間違っていないのだろうか、という不安感、皆が自転車で行く中一人歩くことに対し、自分の選択の愚かさ?焦燥?のようなものを感じていた。


そのまま夜明け前に倉庫についた私は、友人数名から「やっと来たな」なんて軽く声をかけられたり、また何人かからは冷やかしの目で見られたりもした。

そこで唐突に夢は終わってしまった。


今日見た夢の内容を現実に照らし合わせると、

倉庫へと歩いていく私はピアノを練習する現状であろうか。

ピアノ教室に通うでもなく、自分を信じて身になるかもわからない独学を重ねている様が徒歩だとするならそれに対して私の脳は不安や焦りを感じていることになる。

若しくは、私の大学生活を示しているのか?

特に大きな目標もなく、ダラダラとこの二度目の夏休みを生き続けているこの現状に対するニューロンからの警告だったのかもしれない。


とはいえ、いずれにしろ運命とはいつか歩み寄ってくるものだ。

誰しもの人生の一本道に、たまにそれが触れることがある。

私はまだ一度しか経験がないが、それを掴んで離さないことが重要なのだ。

そのために私達ができる事は、出会いの確率を上げるために自分の一本道を横に拡張することだ。

様々なことを五感で経験し、心の琴線を張り巡らせる。

そういうことが新たな未来を運んできてくれるのだと思う。


ここまでが朝の段階で書いた文章である。


今日は久方ぶりに生活圏を出る外出をした。

おかげで家でのピアノ練習の気力は皆無だったのだが、まぁそんな日があってもいいのではないだろうか。

何事もメリハリだ。


具体的には皇居に行った。

一般参賀もやってなかったのでなーんにもなかった。

無駄に広い敷地に翡翠色のお堀と砂利が敷き詰められたウユニ塩湖のような虚無。

日本人が絶滅したあとの日本を思わせる沢山の外国人観光客。

なんか気合い入れて来た割になにもなさ過ぎて悔しかったので、1時間ほど楠木正成像の横の木陰のベンチで読書をした。


途中、私の目の前に陣取っていた中国人観光客の一団の子供二人(年は小学校高学年くらいか)が蟻を踏み潰しているのを見た。

非難はしない。私も幼い頃同じ事を繰り返していたからだ。もっと大きなスケールでだ。

蟻を潰すと雨が降る、なんて周りの大人は言っていたけれど、それはむしろ私の探究心に火をつけた。

しかし、その検証は私の動機の一部に過ぎなかった。

ただ動き回る多くの物体の動きを片足で止める。

そのチープな快感に酔いしれていたのかもしれない。

たしか中学生になる頃には「残酷だ」と思うようになり、蟻を潰すのはやめた。

高校生になる頃には「無意味だ」とその辺に生きる無害な虫には興味すら抱かなくなった。(家の中の虫は徹底的に始末するようになったが…)


子供の頃に感じていた「怒り」の感情は、歳を重ねるにつれて「嫌悪感」に差し替わっていったように思える。


大人になるとはどういうことかとここ数年考えていたが、思わぬところで自分の変化に気づくことができた。

それだけでも今日の収穫である。


なんだか今日はフリックする指が進まない。

















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ