六話 ギルマスとの訓練
ギルドに着き、ゴブリンの耳を受付に出すと、銅貨8枚受け取った。リンの方を見ると、首を振り、「あげるわ。」と言われたのでありがたく受けとることにした。
「じゃあ、私はこれでと」リンは2階に上がって行ったので俺もギルドを出て、屋台で牛串やらを買って食いながらホテルに帰った。
~リン目線~
私は2階に上がり、親父の部屋をノックする。
「どーぞー。」
中に入ると、応接用の椅子に座ってすでに酒を飲んでいた。
対面に座るように促されたので座ると、
「どーだ。斗真は?」と聞いてきたので、今日起きた出来事を話す。
「予想以上だなぁ。」と、感心したかのように頷くギルマスが
「リン、お前、斗真と戦って勝てるか?」
「…魔法を使ってもいいなら。」
「ほぅ、リンがそう言うならよっぽどだ!」少し、イラッと来た私は
「どこであれを拾ってきたんだ?何で親父はあいつがあそこまで出来るとわかったんだ?」
「まぁー経験の差だな。俺としても予想外だが。。。まぁー、明日現実に戻してやるよ。」
「一緒に飯でも食うか?」と親父に誘われたが帰って1人で寝た。
次の日の朝もホテルの1階で朝食を食べたが、ジミーには会わず、もう出て行ったのかと思うと少し寂しくなった。
ギルドに到着し、受付にレイラさんを見つけたので駆け寄り
「おはようございます。今日は何かする事有るんですか?」
するとレイラさんは
「おはようございます。今日は来られたら地下の訓練室に来るようにギルマスから言われておりますのでご案内致します。」
レイラさんの後を付いて地下の訓練室に行くと、大剣を振り回し汗だくのギルマスがそこにいた。
「よー。斗真。昨日はお疲れだったなー。」
「あー、いえ、今日は訓練ですか?」
「そうだ。ゴブリンをあっさり倒したと聞いてな、どのくらい出来るか、、、力量を測るのもギルドの仕事だ。」
そう言うと、大剣を横におき、上半身裸のまま
「組手だ。籠手と防具を外して、上を脱げ。」
俺も籠手と防具を外し、上着を脱いで、ギルマスの正面に立った。
「じゃあ、いつでもいーぜ!」
(さすがにでかいな。)
ギルマスは190cmぐらいあり、幅も大きい。
殴っても効くのか、はたまたひょっとしたらの気持ちも持っていた。俺は軽く準備運動をして、
「じゃあ、行きます。」
顔はまずいかなと思い、様子見がてら右のボディを殴ると、分厚いトラックのタイヤを殴った感触で、ギルマスを見るとニヤリと笑って、「ヤバっ!」と思って離れようとしたが抱きしめられボディスラムをされた。
追撃を恐れてすぐに立ち上がるとギルマスが
「遠慮なんか必要ないぞ!全力で来てもお前が勝てるはずがないからなー!ほれ、早くこい!」
明らかに舐めた態度にイラッとなり、今度は全力で駆けて全力でボディを撃つ。と同時にギルマスの右足が踏み込んできており、右ボディを受けて悶絶してしまった。
「もう終わりか!?」
右のボディを打たれて痛いはずなのに気分は清々しかった。どちらかと言えば人間離れした力に、そんな世界に怖がっていたのかもしれない。ただ、目の前の壁はあまりに大きく、自分の全力を受け止めて平然としている存在だ。今までどこか他人事のようで、ってか初めてこの世界で生きている事を受け止めた瞬間だったのかもしれない。そんな悩みを全部受け止めてくれるかのような存在に思えた。その後、ゆっくり起き上がって色々打ち合いを楽しんだ。ってゆーかボコボコにやられた。
「また鍛えてやるよ!」
「次はその面殴ってやっから!」
「寝言は寝て言え。あー!寝ているから寝言だな!ハハハッ!」