十七話 マインティコア討伐
いつのも日課のようにレイラさんと次の依頼の件で話していると、ものすごい勢いで男が走り込んできた。
「すまん。ギルマスに会いたい。ギルマスはいるか?」
すると受付の奥からジャックさんが
「ギルマスは今不在だ。何かあれば俺が代わりに用件を聞くことになっている。」
「不在かぁ。英雄の力を借りたかったのだが、、、南のトレイユでマインティコアが発見された。B級パーティーが討伐に向かったが連絡がなく、その後死亡が確認された。今複数パーティーでの討伐を検討中のためなんとか力をお借りしたい。」
俺がこっそりレイラさんに
「トレイユの騎士団には頼めないの?」と聞いたところギルドにはギルドのプライドがあり、よっぽどの事がない限りお互い関わり合いをもたないとのことだそうだ。
「急に言われてとなぁー……」とジャックさんと目があった。
「斗真行けるか?」
「まぁー、行けと言われたら、、、」
「よし。じゃあ後は、リンとシルクを呼んでくれ。今日は休みだったはずだ。」
(無条件で行くことになってしまった。本当にジャックさんがギルマスになったら、休みがなくなりそうだ……)
リンとシルク(何回か見たことあるけど話したのは挨拶程度だ。年齢は20代前半でかなりグラマラスなお姉さんだ。双剣使いでリンとは仲がよく、よく一緒に討伐に向かうのを見ていた。)が嫌々ながらジャックさんの前に並んだ。
「今日は休みだったから買い物でも行こうと思ってたのにー。」
「「ねー!」」
女性の説得ほど難しいものはないなと思いながら見てると
「頼むよ。この見返りはするからー!面倒な依頼は全部斗真に振るから!」
「ちょっと。ジャックさん!俺も行くんだからそれはないでしょ!」
「ははっ!聞こえた!?冗談だよ。冗談。」
(絶対冗談なんかじゃないし、、過労死したら労基に訴えられるぞ!)
「まぁー、いいわ。その代わり見返り期待してるからね!」
「すまん。決まったら馬車を用意してあるんだ。すぐ出発を頼む。」
荷物はレイラさんから渡され、これも給料から引かれるそうだが、今回は通常の依頼ではないので、討伐したら臨時のボーナスが出るらしい。3人とも馬車に乗り込み目的地へと向かう中、シルクさんがリンの髪飾りを見て、
「ちょっとその髪飾りどうしたの?」
「えっ!?髪がね、鬱陶しいから付けてるだけよ。」
「いいじゃない。よく似合ってるわ。これ東の国のでしょ!?高かったんじゃない!?」
「そう。ありがと。値段は貰い物だからわかんないの。」
「ちょっとちょっと!誰に貰ったのよ!お姉さんに言いなさいよ!」
(お姉さんとゆうかワイドショー好きなおばさんだな…)
そう思っていると、急にこっちを見て
「斗真君でしょ!?妬けちゃうなー。若いっていいわねー。」
「ちょっとなんでわかるのよー!!」
「女の勘ってやつよ!私お邪魔じゃないかしら!?大丈夫!?」
(挨拶程度しかしてこなかったが、こんなキャラだったんだー。)
そんな緊張感など微塵もなく、馬車はどんどん進んで行き、王都の近くまで差し掛かると別の馬車と合流した。
「王都のギルドはどうだ?」
「王都のギルドは今上位冒険者がこぞって出てるらしく、急には無理だと断られた。王都の近くでも魔獣がよく出てるってよ。辺境はどうだ?」
「あー、こっちはタイガのギルマスはいなかったが、なんとか3人来てくれた。」
「そーかー、ならトレイユの冒険者と二組での討伐になるな。大丈夫か!?」
そんな声が聞こえて来たのでおもわず、
「あのー、マインティコアってそんなに強いんですか?」
「あぁ。マインティコアならB級パーティー対象なんだが、そのB級パーティーがやられたとなると、、変異種か、特別なマインティコアなのかもしれん。詳しくはトレイユについたらギルマスから話があるはずだ。もうしばらくかかるから、それまでゆっくりしといてくれ。」
「普通じゃないって、前のハウルベアーみたいなんじゃないでしょうね!」
リンが俺に話しかけるが事情の知らないのシルクが、
「何!?前のハウルベアーって!?」
「前に斗真とハウルベアーの討伐に行ったんだけど、見た目はハウルベアーなのに二人がかりで倒せなかったのよ。」
「あー、ギルマスが止めさしたやつね。そう言えば注意喚起されてたわね。」
「もー、しっかりしてよね。お姉さんなんだから。」
(前のハウルベアーみたいだったら、次は勝てか、、、)
ギルマスにそう言われた事をふと思い出した。