十五話 辺境伯ペンタゴン
午前中に訓練をした俺たちは3人で昼飯を食べた後、ギルマスに連れてこられて辺境伯の所へ来ていた。大きな門を見るとおもわず後退りしてしまう。
「辺境伯のペンタゴン様にお会いしたい。今いるか?」
門番にギルマスがそう問いかけると、門番が中に呼びに行ってくれた。
「なんか貴族って緊張しますね。」
「まぁーな。俺もあんま行きたくねーが、この街で暮らしていくには避けて通れねー。」
「私も初めてお会いします。」
すると門が開かれ、中から執事らしきお爺さんが出てきた。
「ようこそ。タイガ様。お会いになるそうなので中でお待ちください。」
執事のじいさんに案内されて屋敷の中に入るときらびやかな雰囲気ではなく、質実剛健というか、所々に剣や鎧があり、武道派の印象がする。
「こちらに掛けてお待ちください。」
そう言って執事のお爺さんが出ていった。
「なんか、武道派なんすか?ペンタゴン様は?」
「あー。お前も王都で会っただろう。ダニエル元団長の兄だ。」
(あー。あの厳ついスキンヘッドのじいさんかぁー。じゃあ、あんな厳ついじいさんが出てくるのかな?)
「よく来た。タイガ。ったくいつも連絡なしできよってからに!ワシがそんな暇に見えるか?」
「いえいえ、忙しいければ出直すだけです。相変わらずお元気そうでなによりです。」
(はぁー。厳ついじいさんが来ると思っていたけど、細身だがしっかり引き締まった身体。元剣士かな?)
「それより今日は何用じゃ?二人も引き連れてきて!」
「はいっ。しばらくしたら旅に出ようかと思っておりまして、次期ギルマスと冒険者の紹介に。」
「「えっ!」」
俺とジャックさんは互いを見て、首を振りあった。どうやらジャックも聞いていないようだ。
「なんじゃ、二人も聞いとらんかったんか?それでいつ頃じゃ?」
「ジャックは辺境に戻ったばかりですので、慣れてからになりますかね。先にペンタゴン様にはお伝えしとかないとと思いまして。」
「そうか、お前がジャックか!?ダニエルから噂は聞いとる。そっちの冒険者の名前は?見込みあるのか?」
「名前は斗真っていいます。俺がスカウトしたんで間違いないはないです!」
「スカウトって何人スカウトしとんじゃ!?お主は!!」
「ハハッ。」
「まぁー、良い。お主は冒険者じゃからの。いつかは旅に出ると思っておった。ジャックに斗真じゃったの!?わしの騎士団に面通ししてこい。おい!セバス!」
「はい。ではご案内させていただきます。ジャック様と斗真様はこちらへ。」
突然現れたセバスにびっくりしながら騎士団の所へ連れてこられた。
~ギルマス目線~
二人っきりになった室内で
「行くのか。フローラを探しに。」
「はい。リンが18になったら行こうと決めてました。ギルドもジャックならまとめあげることが出来るでしょう。」
「しかし、厄介な魔物も出てきたじゃろ!?」
「ペンタゴン様。それは宮殿のお仕事でございます。」
「まぁー、そうじゃな。これ以上頼むのは酷じゃな。しかし、共に辺境へやって来て18年か?よく辺境の街のために頑張ってくれた。辺境伯として礼を言う。」
頭を下げる辺境伯に俺はちょっとびっくりしたが、
「やめてくださいよ。全てはリンのため、冒険者の仲間のためですから。私がいなくなっても冒険者ギルドをお願いしますよ。見つけたらまた戻ってきますから。」