十三話 誕生日プレゼント
リンがガーベラさんとお風呂に入っている間、俺はトマスさんと話していた。トマスさんは宮殿で働いているとの事や、リンの事も話してくれた。昔はギルマスにベッタリだったらしい。
すると、お風呂から上がったリンが、こっちを見て
「何話してたの?」
俺とトマスさんは互いに向き合い
「世間話だよ。なぁー斗真君!」
「そうですね。」
異世界に来て人との出会いには恵まれていると実感した。
次の日の朝帰り際、ガーベラさんが、
「またいつでもいらっしゃい。ただ、連絡は入れなさいよ!」
笑いながらリンに言い、後にした。
「せっかくだからちょっと観光して帰りましょう!」
「いーね。俺もちょうど見たいものがあったんだ。でも二人ともいい人だね。」
「そうね。それより見たいものも気になるけど、トマスさんとは何話してたの?」
「だから、世間話だよ。勤務先とか、子供の事とか。それよりリンは何話してたの?」
そう聞くとリンは顔を赤らめて
「わ、私達も、世間話よ。精霊魔法についてとかよ。」
「精霊魔法?普通の魔法とは違うの?」
「普通の魔法は体内からの魔力をエネルギーに変換して行うのに対して、精霊魔法は大気にいる精霊の力を使って魔法を使うの。」
「へー。魔法にも色々あるんだね。じゃあガーベラさんも精霊魔術師なの?」
リンは首を振って
「師匠に限らず人族で精霊魔法は使い手は私以外聞いたことがないわ。精霊魔法が得意なのはエルフだから、、、」
「そうなんだ。。」
(なんか聞いちゃいけないこと聞いたかな?)
その後は観光を楽しみ、俺の見たいもの(ギルマスの銅像)を見て、辺境まで帰ってきた。
依頼達成感の報告をすると、ギルマスから晩御飯に誘われた。
指定されたレストランに入るとすでにギルマスとリンが座って待っていた。
「すいません。お待たせしました。」
「いや、大丈夫だ。悪いな。付き合ってもらって。」
「いえ、大丈夫です。」するとリンが
「ところで、今日はなんで呼び出したんだ?」
ギルマスは軽く咳をして、襟をただし
「リン、成人おめでとう。これプレゼントだ。」
「親父、、ありがと。これ母さんの………」
「あぁ、母さんが置いていった指輪だ。お前にも大切な人が出来たら渡そうと思っていたんだ。」
「ちょっと、誰の事よ!」
「誰ってそりゃ斗真だろ!違うのかっ!?」
「ゴホッ、ゴホッ!」
(思わず、水が気管に入りむせたわっ!)
「ち、違うわよ。」
「そうか、なら返してもらおうか!?」
「ち、違うけど指輪はもらっておくわ。」
ギルマスがリンに手を差し出した手を引っ込め俺にニヤリと笑いながら、
「斗真よ。これからもリンを頼むぞ。お前にもプレゼントだ。」
そう言われ、テーブルの上に置かれ物は籠手だった。
「これは、」
「新しい籠手だ。ミスリル製だから軽くて、丈夫だ。」
「ありがとうございます。いいんですか?こんな高そうなもの?給料から引かれるとか?」
「あーその手もあったがこれは、俺からの正真正銘間違いないプレゼントだ。それでこの街、リンを守ってやってくれ!」
「親父!!」
「ハハッ!これ以上言ったら殺されそうだ。今日はたのしく食べよう!」