十一話 ジャック&ダニエル
結構衝撃的な事を聞いたが大丈夫なのだろうかと不安になってきた。エルフと人は相互不可侵条約を締結していると聞いたが、また戦争が始まるんだろうか!?
「この事は宮殿関係者にも伝えてはいるわ。後は、宮殿にバトルタッチね。」
「せっかく、平和になったってゆーのに。何考えてるんだエルフは?」
「まだ、エルフって決まった訳じゃないから、、」
「まぁー、そうだな。」
「じゃ、ギルド内でもそれとなく危険な魔獣が現れる可能性があるとだけ匂わせておくとするわい。」
「あー。じいさん頼んだ。辺境だけに現れると決まった訳じゃないからな。」
「じゃあ、本日はこれで解散じゃな。タイガ、久しぶりにジャックが会いたそうにしてたぞ。顔出してやれ。」
(ジャック?)
「あぁ、そのつもりだ。ガーベラありがとな。」
「厄介ごとばかり持ち込まないでよね!」
席を立って部屋を出るときガーベラさんに話しかけられた
「リンは元気にやってる?仲いいの?」
「はい、元気だと思います。仲はわりといい方だと思います。」
「そう。仲良くしてあげてね。あの子、強そうに見えるけど弱い所もあるから、、、後、たまには顔見せには来なさいって!
」
「わかりました。」
(なんか意外な1面だな。ってかリンとガーベラさんそんなに仲いいんだ。)
ギルドから出て歩いてると
「斗真、この事は内密だ。また辺境で同じような敵が現れたら、次は勝てよ!」
ニヤリと笑いながら言ってきた。
「うっす!次はジャックってゆー人に会いに行くんですか?」
「あぁ、そうだ。ジャックって知ってるか!?」
俺は首を振る。
「まぁー、そうか。ジャックは元々辺境で冒険者をやっていたんだが、頭が良くてな。だから、王都の騎士団に見習いに出してるんだ、後3ヶ月ぐらいか?そのぐらいでまた辺境に戻ってくる予定だ。」
話ながら歩いてると騎士団駐屯地が見えて来た。
「おーい!誰かいるかい?」
ドアを開けてギルマスが呼ぶと厳ついスキンヘッドのじいさんが出てきた。
「タイガじゃねーか!なんだ?ジャックを見に来たのか?」
「お久しぶりです。ダニエル団長。えぇ、ジャックの様子を見に来ました。」
(ギルマスの敬語なんて初めて聞いた。)
「元な、元。ジャックなら今は実践演習の時間じゃな。見に行くか?」
「えぇ、よろしくお願いします。」
演習場所は開けた荒野みたいな所で、互いに五十名ずつ、先に敵の陣地にある旗を壊した方が勝ちとなる。
「おっ!今から始まるみたいじゃぞ!」
ダニエル元団長が、そーゆーとホラ貝が鳴り響き、一気に戦闘ムードになる。
互いの騎士が一斉に駆け出し、ぶつかり合う。片方の騎士団が魚鱗の陣形で中央突破を目論見突進してくるが、対する相手も鶴翼の陣形で対抗しており、突破出来ずにいた。そうしていくと中央突破を目論んでいた方が1人ずつ分断され、徐々に勢いがなくなり、最終的に鶴翼の陣形に丸め込まれ破れた。
「ジャックの方の勝ちじゃな。あいつは臨機応変に陣形を操る。力量が同じなら奴のいる方の勝ちじゃ。」
するとこっちに気づいた青年が走ってやってくる。
「タイガさん。来てたんですね。」
「おぅ。成長してるじゃねーかー!」
ギルマスにそう言われると青年は嬉しそうなはにかんでいた。
すると、ふとこっちを見て
「君は、、」
「はじめまして。斗真です。辺境で冒険者やってます。今日はギルマスと一緒に王都にやってきました。ジャックさんですか?」
「あー。ジャックだ。よろしく。」
こっちの挨拶は簡単にすませ、王都での用事が気になる様子で
「王都で何の用があったのですか?」
「あぁ、野暮用とお前を見に来た。斗真はなかなか見所があるから、お前とも会わせたかったしな。」
「そうなんですね。」「もうじき辺境に戻る事になると思う。その際はよろしく頼む。」
「はいっ。」と握手して、今日は帰ることとなった。
その帰り道ギルマスが、
「ジャックは腕っぷしは弱いが統率力がある。斗真、お前とリングでジャックを支えてやれ!」
「了解です。ギルマスは支えないんですか?」
「俺はやりたいことがある。ギルドはお前らが支えろ!」
予想外の言葉にその後は黙ったまま帰路についた…
~ギルマス目線~
ジャックが帰って来て斗真がいる。リンももうすぐ18だ。俺がいなくても辺境の地はなんとかなる。俺はようやくお前を探しに行けるよ……