旅立ちとファーストキャンプ
二人の家〜
リオ
「俺も行くっすよ。」
クリシュナ
「今回のミッションはかなり危険だ。場所もいまいち特定できていない。主要な城、街になると思うが大陸全域だ。おそらくすぐには帰ってこれない。それでもついてくるか?」
リオ
「もちろんっすよ!俺はクリシュナを守るっすよ。」
リオが目を輝かせている。
クリシュナ
「まあ、そう言うと思ってた。」
リオ
「いよお〜し!早速準備っす!」
リオが飛び跳ねた
……………
リオは鼻歌を歌いながら荷造りをしている。
リオ
「さて、これでよし!ね、ポンくん!」
クリシュナ
「何がよしだ、その変な猫のぬいぐるみは置いていけ。」
リオ
「む、無理っすよ!ポンくんがいないと眠れないっす!」
リオがぬいぐるみを抱きしめて首を振った。
クリシュナ
「そいつのせいで大人になれないんだよ!リオは!」
リオ
「イヤっす〜〜〜、クリシュナの鬼!悪魔!人でなし!」
クリシュナ
「なんだと!もう連れて行かないぞ!」
リオ
「う、う、うう…………クリシュナなんて嫌いっすよ……。」
リオはとうとう泣き出した。
クリシュナ
「さあ、そいつをよこせ。今晩そいつなしで眠れたらちゃんと連れて行くから。」
リオ
「…わかったっす…。ポンくん……好きだよ。」
クリシュナはカチンときた。
クリシュナ
(リオめ、俺には好きとか言わないくせにそいつには言うのかよ!俺はそいつ以下かよ!)
リオは泣く泣く薄汚れた変な猫のぬいぐるみをクリシュナに手渡す。
リオ
「おやすみっす!」
リオは扉をバタンっと閉めた。
………………………………………………
クリシュナの部屋〜〜〜〜
クリシュナ
(まったく、なんでこんな人形大事にしてるんだよ。)
クリシュナはベッドに寝転がって薄汚れているぬいぐるみを観察した。
ついでににおいも嗅いでみる。
クリシュナ
(リオのにおいがする……。)
クリシュナはぬいぐるみに顔を埋めて香りを吸い込んだ。
クリシュナ
(ああ……やっぱり…リオのにおいだ…。)
クリシュナ
「ふう……………」
クリシュナはぬいぐるみを抱きしめて幸せそうに眠りについた。
……………
リオ
「クリシュナ〜やっぱりポンくんがいないと眠れないっす〜…。」
クリシュナの扉を開けたリオはポンくんを抱きしめて眠るクリシュナを見てキレた。
リオ
「クリシュナあああああああ!ポンくんを返せ〜〜〜〜〜!」
リオはブレードを構えて襲いかかる。
クリシュナ
「うお!ま、待て!返すから!ポンくん返すって。落ち着け!」
クリシュナはリオにぬいぐるみを投げた。
リオ
「ポンくーん、会いたかったよ!」
リオはポンくんを抱いてさっさと自分の部屋に戻った。
クリシュナ
(あの人形………抱き心地よかったな。)
………………………………………………
そんなこんなで結局、ポンくんはしっかりリオの背中におんぶされた。
出立の朝、二頭の馬に荷物をぶら下げて二人は準備万端整えた。
リオは手のひらサイズの本に何か書き込んでいる。
クリシュナ
「ん、なんだ?その本。」
リオ
「じゃーーん、世界食べ歩きマップ!これで予習したっすよ!」
クリシュナはふふっと笑った。
リオもへにゃっと笑った。
クリシュナ
「まずは、砂漠の中のオアシス都市シルダリアだ。」
二人は主に街道を通ったが山賊の砦が見えた時には脱線して襲撃したり、金目の獣を狩ったりしながら旅をした。
これまでは宿屋に泊まっていたのだが、丈の短い草が生えているステップ地帯に入ってからはシルダリアまで街が一つもない。
それで二人は初めて野宿する事になった。
持参した日持ちする固いパンと現地で食料を調達して焼いて食べる。
リオ
「岩塩持ってきて正解だったっすね!」
リオはウサギ肉にかぶりつく。
クリシュナ
「ローズマリーもな。」
リオ
「俺、キャンプ初めてっすよ。こんなに楽しいと思ってなかったっすよ。」
クリシュナ
「俺もだ。いつも城で思い描いてた。その夢が叶ったよ。リオのおかげだ。」
リオ
「俺っすか!?」
クリシュナ
「リオが俺の前に現れて、俺の人生は変わったんだ。ありがとう…。」
リオ
「へへ………。」
リオはへにゃっと笑った。
……………………………
満天の星の元二人はマントにくるまった。
火は焚いているが砂漠の夜は寒い。少し風が出てきた。
リオ
「っくしゃん。」
クリシュナ
「リオ、寒いのか?」
リオ
「寒いっす。」
クリシュナ
「……………………。」
クリシュナは少し考えてマントを広げた。
クリシュナ
「リオ、おいで。」
リオ
「人間布団っすか!ポンくんも一緒にいいっすか?」
クリシュナはうなづいた。
リオは変な猫のぬいぐるみごとクリシュナの腕の中に潜り込んだ。
リオ
「クリシュナってあったかいっすね……。」
リオはクリシュナの胸に額をこすりつけていたが小さな寝息を立て始めた。
クリシュナ
(無防備なやつ…。俺以外のやつにもこんな事をするのかと思うとゾッとする。)
クリシュナはリオの髪を撫でて頭にキスをした。
背中から腰の下まで感触を確かめながらゆっくり手を這わせる。
そしてリオの耳たぶをペロリと舐めた。
クリシュナ
(いかんいかん……こんな事をしていては止まらなくなる。)
クリシュナは頭を振って目を閉じた。
………………………………………………
リオはコーヒーの香りで目が覚めた。
クリシュナ
「おはよう。」
リオ
「おはようっす。ふああ〜〜」
クリシュナはスズのカップに入ったコーヒーをリオにさしだした。
もちろん砂糖がたっぷり入れてある。
クリシュナ
「残念ながらミルクはないがな」
リオは一口すすった。
リオ
「うわあ、美味しっす!温まるっす。やっぱりクリシュナのコーヒーは最高っすね。」
リオがへにゃっと笑った。
クリシュナも微笑んだ。
リオ
「クリシュナ、目の下にクマができてるっすよ、ちゃんと寝たっすか?」
クリシュナ
「ああ………いや………。」
リオ
「なにっすか?」
クリシュナ
「……………いや、今日中にシルダリアにたどり着こう。」
リオ
「了解っす!」
クリシュナ
(言えない…眠れなかったなんて…リオを抱きたくてたまらないなんて…。間違いなくキモいって言われる。)
つづく




