猛烈ダッシュの誕生日
リオ
「ただいまっすーー。」
家の中は暗くて静かだ。
リオ
「クリシュナーー、いないんすか?おっかしいなあ。」
リオ
「この時間に待ち合わせって言ってたのに……俺の誕生日パーティーするって……。」
リオ
「もう、栗クリクリ栗の子〜♩俺の頭はくりぼうだ〜い
栗の子クリシュナ 栗の子クリシュナ くりりりりりん♩」
ぷっ………………………
リオ
「ん!?」
「た………誕生日おめでとう!」
灯りがついてクラッカーが鳴らされた。
ドラア他
「リオーーーおめでとう。」
リオズ親衛隊ファイヴナイツが次から次におめでとうと言いながら出てきた。
リオ
「わわわ!先輩方!ビックリしたっす!」
ドラア
「サプライズに引っかかるアサシンはリオくらいだな。」
ソンム
「リオが変な歌歌うから笑っちまったよ!」
ピーテ
「リオ、おめでとう。」
イェータ
「あたしたちがリオを一人にするわけがないじゃないの。」
ボルタ
「うははは、リオ、独り言多すぎるって。おめでとう!」
リオ
「もう、やられたっすよ!」
ソファに座ったクリシュナが笑っている。
クリシュナ
「なんだよ、くりぼうって!」
リオ
「いたんだ!クリシュナ。」
クリシュナ
「おめでとう、リオ。」
リオ
「あ〜ざっす!」
その時、窓から使いのアサシンがひょこっと顔を出した。
アサシン
「クリシュナ、ネマン導師が今すぐに処理して欲しいクエストがあるらしい。頼む。」
クリシュナ
「ふう〜、ちょっと行ってくる。」
リオ
「了解っす、ケーキ残しとくっす。」
クリシュナ
「ふっ……ああ。」
クリシュナは窓から隣の屋根に飛び移って行った。
イェータ
「リオ、誕生日プレゼントよ。」
イェータはマントをとめる猫のブローチをプレゼントした。
リオ
「うわあ!可愛いっすね!」
イェータ
「猫、好きでしょう。」
リオ
「ういっす!」
リオはすごく喜んでいる。
ドラアが他のメンバーを押しのけてリオにプレゼントを差し出した。
ドラア
「リオ、プレゼントだよ。開けてごらん。」
リオはワクワクしながら紙包みを開けた。
リオ
「っ痛…………………。」
リオの指から血がにじみ出た。
ドラア
「はっ…………あああああああああああ!」
リオが体を抱きしめて苦しみ出した。
ドラア
「ま………まずい……。」
ボルタ
「どうした?」
ドラア
「魅了の吹き矢が……刺さった…。」
「なんだと!?」
みなが叫んだ。
ドラア
「吸い出そう。」
ドラアがリオの指に吸い付いた。
リオ
「先輩………。」
リオがドラアに抱きついた。
一同が息を飲む。
リオが赤い顔でドラアを見上げる。
リオ
「お、俺………おかしいっす………。先輩………。」
リオはドラアの胸に頭を擦り付けている。
ドラア
「うわ……………リオ………。待て………。」
リオ
「キス………したいっす。」
リオが背伸びして目を閉じた。
ドラア
「うぐぐぐぐぐ。」
ドラアは真っ赤な顔をして耐えている。
ピーテ
「リオ、私がやってあげますよ。おいで。」
ボルタ
「おい、ふざけんな、これはリオの意思じゃねえだろ。」
ソンム
「リオちん……色っぽいな…。ごくん。」
イェータ
「もう、どうやったら治るの?」
ドラア
「10分経ったら……。はあはあ……。」
リオ
「先輩………。お願いっす。」
リオの紫の目がとろとろに潤んでいる。
ドラア
「リオ!10分で元に戻れる!
走れーーーーーー!走って走って走れまくれ!
いけええええええ!」
リオ
「は…はいっす!くっそおおーーー負けるかよーー!」
リオはバルコニーから飛び出して屋根の上を凄い勢いで走り出した。
あと 7:35
ドラア
「うう………うう………。したかった、キス。」
イェータ
「えらかったわ、隊長さん。」
イェータはドラアの肩を叩いた。
あと5:03
リオは港の船のマストに登って海に飛び込んだ。
そのままがむしゃらに海を泳ぐ。
あと2:28
また船に乗り、うおーと叫びながら甲板を走ってマストに登る。
ロープにぶら下がって大きく揺れてまた海に飛び込んだ。
あと0:56
海を泳いで港の桟橋に上がり、叫びながらすごい速さで走る。
そのままビーチの砂浜を目をつぶってまっすぐに走る。
あと0:12
リオは何かにぶつかった。
目を開けると驚いたクリシュナがリオを抱きとめていた。
クリシュナ
「どうした、だいじょ…………。」
リオは背伸びしてクリシュナにキスをした。
あと0:00
リオははっとして唇を離した。
クリシュナは目を見開いて固まっている。
リオ
「こ、これは、違うす………!
俺、魅了の吹き矢が刺さって、それでおかしくなって……
本当に申し訳ないっす!」
リオは真っ赤な顔で何度も同じ事を言って弁明する。
クリシュナ
「あ……そうか、最新の吹き矢……。
な、なるほど………。」
リオ
「も…もう、ネマン導師の用事は終わったっすか?」
クリシュナ
「あ、ああ……。」
シイーーーーーーン
クリシュナ
「…………………。」
リオ
「そうだ………パーティー……、ケーキ食べたいっす。」
クリシュナ
「そ、そうだな…帰ろう。」
二人は赤い顔で同時に走り出した。
…………………
二人はバルコニーから帰宅した。
ドラア
「大丈夫か?リオ。」
リオ
「はいっす!先輩、俺、頑張って走ったっす。泳ぎもしたっす。」
イェータ
「本当、ビショビショ、水浴びておいで、リオ。」
リオはこけながらバスルームに走っていった。
クリシュナは無言でテーブルの上のワインを一気飲みした。
ドラア
「クリシュナ……何かあったのか?」
クリシュナ
「いや……たまたま海でリオに会って…帰ってきた。」
クリシュナは呆然としている。
ドラア
(あやしい…………………。)
クリシュナ
「俺、ちょっと出てくる。」
そういうとクリシュナはまたバルコニーから屋根の上を走り出した。
繁華街のパブに降りて入った。
店の中は満員で、賑やかな音楽が演奏され、飲んだり踊ったり、それぞれ楽しんでいる。
クリシュナはフードを取って、叫んだ。
クリシュナ
「だれか、俺とキスしてくれないか!」
パブの中に客の笑い声が響く。
女
「私がしてあげるわ、イケメンさん。」
胸元が大きく開いたドレスの美しい女がクリシュナの首に手を回した。
客たちがヒューヒューと言って拍手をしている。
クリシュナは女の腰に手を回し、キスをした。
女は濃厚なキスを期待したが、すぐに体が離された。
クリシュナ
「ありがとう…。わかった。」
クリシュナはそう言うと店を出た。
女はプリプリ怒って、靴を投げつけた。
客は手を叩いて笑った。
……………………………………
クリシュナはバルコニーから家に入った。
すでにパーティーは終わっていて、リオはソファで眠っていた。
テーブルにはクリシュナの分のケーキが1ピース残されている。
クリシュナは眠っているリオの頬を撫でた。
リオ
「むにゃ……クリシュナ……どこ行ってたっすか……。」
リオはあくびをしながら起きた。
リオ
「もうパーティ終わったっすよ。」
クリシュナ
「リオ…!」
クリシュナがリオの肩を掴んだ。
クリシュナ
「今から、俺に付き合ってくれ!頼む!」
リオ
「今からっすか?」
クリシュナ
「頼む!」
リオ
「わかったっす〜。」
二人は夜の街をひた走る。
屋根から屋根に飛び移り、ついたのはアサシン教団本部。
リオ
「本部っすか!」
クリシュナ
「こっちだ…。」
クリシュナは入り組んだ廊下を抜けて、隠された扉を開けた。
つづく




