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007[ドリームランドの入り口1]

護姉さんの治療が終了し、

護姉さんが家に電話を掛け、僕連れで一方的に帰らない事を告げた後、

僕と護姉さんは、護姉さんが、

『一緒に裏野ランドに遊びに行きましょ』と最初に提案した。その、

「裏野ドリームランド」にあると言う「秘密基地」へ、

マツニイとミツキさんとヤマネさん、

シエンさん御一行と共に車で行く事となる。


そして僕達は、店の雰囲気を壊さない有線放送が流れる。

落ち着いた雰囲気の「ちしゃの森」の正面出入り口の扉から、

続々と外へ出て行く。すると、ここへ来たと時同様に、

耳が痛くなる程の蝉の声が、四方八方から聴こえて来た。


僕は、蝉の鳴き声が聞こえなかった様な気がする店内と、

裏口から外へ出た時との違いに困惑しつつも、

裏口から出た時には感じなかった痛いほど暑い夏の日差しに、

脱力しながら溜息を吐き、夏の日差しに熱せられた車を前にして、

『駐車場のスペースには、屋根が必要だと思いませんか?』と、

本気で提案する。


『冬は逆に、その日差しの暖かさが必要に感じられるからなぁ…、

景観も悪くなるし、夏の為だけに屋根を設置するのは微妙だろ?』と、

マツニイは苦笑いを浮かべた。で…、

『夏の為だけじゃないですよ!雨の日とか、考えて下さいよ!

屋根が無いと濡れるじゃないですか!』と言う話をマツニイとして、

僕は、「裏野ウサギさん」を見た事や、裏口での出来事を何故か、

綺麗さっぱり、忘れ去ってしまう……。


そんなこんなで、目の前の事柄で雑談し、車の窓も扉も開け放ち、

ある程度車内の温度が下がるまで、何となく時間を潰し、

僕は護姉さんに手を引かれて、マツニイが運転する車に乗込んだ。


今度、僕が乗ったのは、後ろの座席。そこには、

お茶とお菓子の支度をするミツキさんとヤマネさんも乗って来ていて、

『お前等、汚したらちゃんと掃除するんだぞ』とマツニイに注意され、

笑って誤魔化す2人と護姉さん。

雰囲気的に「何時も汚して、掃除しないのではなかろうか?」と、

僕は感じ取り。その時、僕は、汚さない様にした上で、

「誰かが汚したら、僕が掃除してあげよう」と思う。


因みに、「ちしゃの森」での診察と治療後、

一緒の目的地に向かう話をしていたシエンさんは、と、言うと…、

少し考えてみれば分る事なのだが、

店で肝試しの話をしていた仲間達と一緒に、

駐車場にあった他のワゴン車で、移動する御様子だった。


そうこうして辿り着いた目的地は、締め切られた大きな門のある廃園。

そこを通り越した西ゲート駐車場側にある金属製の手動式回転扉の前。


実は、本来…、この金属製の手動式回転扉は「出口専用」で、

そこから入る事は出来ない筈だったのだが…、しかし…、

誰が壊したのか?出入り自由な事になってしまっていて、

その為に『ここから、廃園に簡単に入れる様になっているんだ』と、

マツニイが嬉しそうに言う……。で、僕は思う。

「回転扉を壊した犯人って、マツニイじゃないだろうか?」と、

こんな風に疑ってしまっているのは、取敢えずは内緒である。

そんな逆方向にも回転してしまう「金属製の手動式回転扉」に、

ガチガチガチと言う金属音を立てさせ、押しながら入ると……。


そこには「何かしらの事故があったらしい」と言う噂のあるのに、

何の事故があったのかが良く分らない。

謎を秘めた「ジェットコースター」を始めとする

その他の絶叫系アトラクションが、無数に点在する場所だった。


僕が回転すら無いジェットコースターのレールを見上げていると、

シエンさんの連れで、一眼レフを持った綺麗なおねぇさんが、

『このジェットコースターに興味があるの?』と声を掛けて来て、

『コースターのレール撮りに行くんだけど、一緒に行く?』と、

ジェットコースターの一番高い場所を指さして誘ってくれる。


僕は、その気遣いに対し愛想笑いを浮かべ、

『今日は、護姉さんに心配を掛けたくないので遠慮しときます。

でも、良かったら、後で撮った写真を見せてくれませんか?』と返し、

次に、その綺麗なおねぇさんと、

親密に御話できるチャンスに備えて置く事にした。


何と言っても僕は「綺麗なお姉さんは、大好物なのです!」が…、

僕は密かに、安全性の低い高過ぎる場所は、得意ではないのです……。

僕は御誘いに乗れなかった事を本気で残念に思いながら、

重たそうなガソリンのタンクと発電機、

クーラーボックスとその他バーベキュー用品を軽々と運ぶマツニイと、

大きなリックを背負い、医療道具の詰まったカバンを持ちながら、

クーラーボックスを3個積んだカートを押すシエンさんの背中を追い。

護姉さん達と一緒に、

裏野ドリームランドの中央に位置するドリームキャッスルへと向かう。


この時、正面ゲート付近の店の廃墟が並ぶエリアを避けて通るのが、

今の廃園となった裏野ドリームランドの常識らしい。

その理由は、ミツキさんとヤマネさん、護姉さん曰く、

裏野ドリームランドは、果樹園近くの人里離れた田舎にある為、

店の廃墟が並ぶエリアでは、その店と店の間にある路地から、

熊とか猪がが飛び出してくる可能性が高くて危険なのだそうだ。

「って、怖!マジですか?それ?」と、思っていたら…、

正面ゲート付近の店の廃墟が並ぶエリアに動く小さな影が見える……。


僕が『あっ!』と声を上げると、

『ん、あぁ~あれは「ウリボウ」だね!可愛いねぇ~。

でも…、その親の猪が確実に近くに居るね!』とミツキさんが笑う。

その言葉にマツニイが振り返る。そして…、

『え?マジで?それは良い事を聞いた!

シエン!今回もトラさん達、狩猟メンバー来る予定だったよな?』

『え?あぁ~来るよ、来るけど…、今回は猟銃じゃなくて、

どこぞの軍御用達のストリングショットを持って来るんじゃないかな?

スチール弾も実戦用に大量購入したって言ってたし……。

だから、狩りの成功率は高くないんじゃないかな?』

『え?トラさん達はプロなんだし大丈夫だろ?ボタン肉が楽しみだ』と、

都会の人が耳にしたら「怖い」と思うだろう話をしてくれ、

歩き進む内に、『『あぁ~、もう来てたか……。』』と、2人は言う。

そして、ドリームキャッスルの方から、

焼き肉屋さんや焼鳥屋さんみたいな匂いがしてきていた。


で、僕は気になる事を護姉さんに訊ねてみる。

護姉さんの話に寄ると「ストリングショット」と言うのは…、

ゴムを引っ張り、放した力で弾を飛ばす武器で……。

「トラさん達」と言うのは…、

マツニイとシエンさんが、狩りをする携帯ゲームで知り合った人達、

ガチでリアルな狩猟免許を持った「マタギ集団」らしい……。


そしてその人達は・・・

ドリームキャッスルへの階段を上り、広いテラスになった場所で、

既に、昨日の時点で獲っていたシカ肉を解体し終え、

タレ漬にして焼いていた。


余談だが・・・

獲った獲物には、山蛭やマダニの居る可能性があるので、

綺麗な水の流れる川等に沈め、山蛭やマダニを落とす事。

しっかり血抜きをし、使用した調理道具は、

綺麗に洗った後、熱湯を掛け、加熱殺菌する事。

獲物に寄生虫や病原菌が巣食っている可能性もあるので、

焼箸、取り箸や食べるのに使う箸を分け、生肉を触った箸で、

焼いた肉を触らない事。

肉はしっかり中まで火を通す事が必要である。と、言う事が、

大切な事なのだそうだ。

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