【コミカライズ化しました】婚約破棄されました。私の親友が!必ず阻止します!・・私が原因なのでorz
「マリア・フリージアとの婚約を破棄する!」
大勢の人が集まる場所のホールで高々に響き渡る声に集まった人々は息を呑み静けさが支配する。
騒ぎの中心に居るのはこの国の第一王子にして王太子のレオン・クロスセージュ様とその婚約者の公爵家令嬢マリア・フリージア様、そして・・・私、男爵令嬢シオン・セイレンがそこにいた。
何故・・何故こうなったーーーーーーーーーーーー!!!!
私だけ場違いにも程があるよorz
私は現実逃避の為、どうしてこうなったのか経緯を振り返った。
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私はセイレン男爵家に産まれた長女シオン・セイレン。日本からの転生者です。産まれた時から記憶があり、ああ何処かに転生したんだ~と朧気に思いました。
4歳になりました。
鏡を見たときに、ここが乙女ゲームの世界だと気付いたの。よくある乙女ゲームで、ヒロインが攻略対象の王子や側近達と恋愛する王道ゲームだ。そしてもちろん悪役令嬢もいます。
読者の皆様を裏切りますが、私は『ヒロイン』として産まれました。このままイベントをこなして行けば、王妃の座も夢ではありません!
目指せ!玉の輿!グフフッ
おっと、はしたなかったですわね。
でも私はイベント通りに進める気は無かったのです。悪役令嬢の嫌がらせは苛烈を極めるのがゲームの売りだったので、かなりやってて引いたのを覚えています。第三者としてゲームで遊ぶのと、実際にやられる方は堪ったもんじゃないのよ!?
なので私は、悪役令嬢と友達になる事を決めたのでした。設定を思い出して、悪役令嬢のマリア様は幼い頃に領地を疫病が襲い、お母様とマリア様も病気になってしまいました。お母様が自分の薬をマリア様に飲ませて、お母様が亡くなってしまったと設定資料に書いてあったの。その後、父親の公爵様も変わられ、家族を省みない仕事一筋になってしまったとか。
そのせいでマリア様も性格が少しずつ歪んでいったそうです。
ならば!!!
公爵家の方々を救えば、かなりストーリーが変わるのでは?と考えました!幸い公爵領は隣なので遠くないのです。えっ?疫病をどうするのかって?
ふっふっふっ・・・
それはヒロインパワーのおかげ!
もとい、ヒロインは聖属性持ちの聖女様なのです!ああ、なんてご都合主義なの!ごめんなさい。
回復魔法のエキスパートなのですよ!
えっへん♪
5歳になりました!
侍女の方にお願いして、隣の領地の様子を頻繁に確認してもらっていたけど、遂に疫病イベントがやってきました。
お父さんにお願いして、公爵領に連れて行ってもらいました。予め私の能力を伝えてあって、困った人を助けたいといったら二つ返事で了承してくれました。
何故かお母さんも付いてきたけど。
公爵領に着くと想像以上に最悪な状態だった。道端で倒れている人もいたぐらいだ。私とお父さんの連れてきた従者が、男爵領から持ってきた薬草類を用意して、お父さんとお母さんがその薬草類で調合した薬で治療していきました。
私も治癒魔法で片っ端から治療していった。
父と母に薬草学があるなんて知らなかったよ!?
そして人々から凄く感謝されました。同じくらいの子供から小さなお花を貰ったの♪嬉しかったです。夕方になると公爵様が直々に来て、領民を助けてくれた事を感謝すると言って頭を下げた。
うん!悪い人じゃないね!
その後は予想通り奥様とマリア様の治療をお願いされた。まさか、土下座されると思わなかったよ!それだけ大切にしていると思った。
すぐに公爵家に行き、奥様とマリア様を治療しました。公爵家の皆さんは涙を流して喜んだ。その日は公爵家に泊まりました。
その夜、回復祝いに盛大にパーティーをしようと言ってくれた公爵様に、意外にも私のお父さんが意見したの。まだまだ領民が苦しんでいるのに、自分達だけパーティーをしてどうする!パーティーは疫病が完全に無くなってからだ!と。
うん、私のお父さんも格好いいよ!結婚して!無理だけど!?
公爵様は妻と子を見渡し、そうだなとポツリと呟いた。そして改めて、疫病の根絶に力を貸して欲しいとお願いされました。そこには貴族としての顔があった。
次の日から、まだまだ病気の人達の治療に奮闘しました。
余談だが公爵領地は肥沃な大地で一面平地が多く、麦畑が多い。男爵領地は山と森が多く・・と言うか山と森しか無い!その代わり貴重な薬草が豊富に採れるの。公爵様が言うには、疫病が起きると王命で全ての関所が閉じられて外部から薬の調達が出来なくなったそうだ。領地では先に述べたように、薬草類が余り採れず本当に困っていたそうだ。
そして一週間が経ちました!
まだ寝たきりの方もいるが疫病は概ね終息した。
公爵様が直々にお父さんと私のおかげだと領民にお触れをだして、今度こそお礼をしたいと言われて、身内だけでのパーティーが開かれました。
「聖女シオン、何か欲しい物はないかな?」
あれ?いつの間にか聖女扱い?
公爵様が尋ねると私は言ったの!
「マリア様と友達になりたい!」
その一言で場の空気が和みました。
微笑ましいね。
「私もお母様と私の命の恩人のシオン様とお友達になりたいですわ!」
マリア様も同調してお互いに話し合いました。お父さんは公爵様と貴族の手本を見たと酒を飲み交わし、お母さんと公爵のお母様は薬草(ハーブ類)に付いて、深い知識と治療の手際の良さに感心して、会話に花を咲かせている。
今日この日に、フリージア公爵家とセイレン男爵家の深い結び付きが出来たのだった。
少し時間が経ち、なんと疫病を短期間で終息させた手腕からと、マリア様と第一王子の婚約が発表されました。
公爵様はセイレン男爵家の力だと何度もお伝えしたが、王家が公爵家を見捨てたと言う報復を恐れたのと、お詫びの意味もあったみたいだ。
各関所を閉じるように命じたのは王様だしね。
それから時々、マリアとお互いの家に遊びに行くようになりました♪
様付けは公式の場以外では呼ばない仲になっていたの。そしてマリアの公爵家に遊びに行った時に、会ってしまったのだ。この国の第一王子のレオン王子に・・・
「初めまして、聖女シオン令嬢ですか?」
私も慌てて挨拶をした。
「初めまして、シオン・セイレンと申します。いつもマリア様には良くして頂いてます」
お互いの挨拶が終わった頃、マリアがやってきた。
「シオン、ごめんなさい!レオン様に貴女を紹介したくて黙ってたの。びっくりした?」
犯人はお前かーーーーーーーー!!!!!!!
そりゃ~びっくりしたよ!こちとら平民よりちょっと偉い男爵ですよ?国のトップの王族の方に気軽に挨拶とか出来るかーーーー!!!!!
ハァハァ、ん?公爵家も似たもんか?
うっかりしてたよ。テヘペロ♪
っと、まぁ脳内で現実逃避をしつつ、くだらない事を考えていると不意に現実に呼び戻された。
「レオン様!私の命の恩人で一番の親友のシオンですわ!可愛いでしょう!」
止めてーーーー!!!これ以上持ち上げないで!
今の私はマリアが本当に大切な親友なのよ!?その大切なマリアが婚約破棄される訳にはいかないわ!
断固阻止します!他の攻略対象と良い感じになりつつ、マリアの婚約破棄を防いでやるぞ!
私は心にそう誓った。
私とマリアは誰が見ても仲の良い友人として過ごした。厳しい王妃教育に泣きそうなマリアの為に、一緒に王妃教育を受けたり、一緒にお風呂に入ったり(何故かやたらと背中を流してくれる)一緒にお買い物に行ったり、家族ぐるみで付き合う関係になっていた。
そして、また反対側の侯爵領で疫病が発生した時、お父さんと一緒に助けに行こうとしたら侯爵の私兵が無理矢理、私達を連れて行こうとして、公爵様が大怒りで私兵を連れて助けに来てくれた。
無論、領民の為に薬を持って助けに行ったけど。そのおかげで侯爵領の皆様に大歓迎を受けた。侯爵様は聖女誘拐の罪で捕まり、男爵ではあるが侯爵領地を少し頂く事ができた。そのため農地が増えて、収穫高が上がり生活水準が向上したの!
うん、良いことはするもんだ。
そんなこんなで、学園に入学する歳になった。ゲームはここから始まるのだ。マリア、私頑張るからね!婚約破棄は絶対に阻止するぞー!いつの間にか私の行動はマリア中心になっている事に気付いていなかった。
そして、マリアの行動も私を中心になっている事に・・・
学園生活は特にありません・・・じゃなくて、特にイベントも無くマリアと一緒に過ごした。レオン王子も良く遊びに行ったりしたよ。だって気を効かせてマリアと一緒にしてもマリアが私と一緒じゃないと嫌って言うんだもん!
可愛いよ~♪マリア~ハァハァ♪
はっ!?ダメよシオン!レオンとマリアの仲を持たないと!私がマリアに惚れてどうする!?どうするのよ私!?
レオン王子とマリアの仲は悪くないと思う。逆に私はレオン王子に嫌われてるっぽい。いつからだろう?たまに厳しい目で見てくるの。子供の頃は嫌われて無かったのに・・・
イベント起こして無かったからかな~?側近の人達と仲良くすると、マリアが邪魔をしてくるから本当に何も無かったんだよね。
さて、ここから冒頭の運命の日の話しになる。学園卒業パーティーでみんながワイワイやっている時にそれは起こった。
「マリア・フリージアとの婚約を破棄する!」
はぁー!?
訳わかんないですけど!?
マリアに意地悪されてないし!?
パーティーの間は注意して周りを見ていたのに何故・・?
私は慌てて詰め寄る。
「どうしたと言うのですか!?あんなに仲が良かったのに婚約破棄など王太子様でも許されませんよ!」
「そもそもの原因はお前だ!聖女シオン!」
2度目のはぁー?
何を言ってるんだ?この王子・・・
よくある別の女にうつつを抜かすバカ王子では無かったはずだが?
だから私のマリアを任せたのに!?許さないわよ!マリアを傷つけるなんて!
私が何かを言う前にレオン王太子が言った。
「お前のせいでマリアが私に惚れないではないか!いつもマリアはお前の事ばかりで私の事など二の次だ!ようやく卒業して王城で暮らせると言うのに、お前と離れたくないので公爵領へ戻ると言う!」
私は目眩がした。
「マリア!貴女は本当にそんな事を言ったの!?」
マリアはうつむきながら言った。
「だってシオンと離れる何て考えられないもの!レオン様は大切な人よ。愛していると言われれば、愛してると正面から言えるわ!でもそれ以上にシオンが大切なのよ!!!」
マリアは目に涙を溜めながら言った。
「レオン様は私には勿体ないくらい素晴らしい方よ。私の事を大切にしてくれてるのがわかってるから・・でも、私と私のお母様を救ってくれたシオン、厳しい王妃教育に逃げ出しそうな時に一緒に勉強して支えてくれて、辛いとき、楽しいとき、いつも側に居てくれたのがシオンなのよ!王妃になれば気軽に会えなくなる!ううぅ、グスッ離れたくないよぅ!!!」
その場にいたみんなが俯いた。みんなも貴族として騎士団に入ったり、隣国へ嫁いだりそれぞれ気軽に会えなくなるのがわかったからだ。
「マリア!すまなかった。お前がそんなに思い詰めていたのに同性のシオンに嫉妬してあんな事を言ってしまった。先ほどの言葉は取り消して欲しい。勝手な事を言っているのはわかっている。それでも私はマリアが好きなんだ。いや、愛してる!」
レオン王太子が深く頭を下げて謝る。
「レオン様・・グスッ、私の方こそごめんなさい!」
そして私は─
「ああーもう!マリアのバカ!!!」
マリアはキョトンとした顔で私を見る
「私も寂しかったのよ!?でもマリアの為に我慢して見送ろうとしたのに!」
マリアを抱きしめる
「し、シオン?」
「私も我慢するのを止めるわ!いつまでも一緒よマリア!もう離さない!みんなで幸せになりましょう」
マリアの目から涙が流れる。
そして一言
「うん・・ありがとう」
こうして最重要イベントが過ぎて言った。
この日、パーティーに参加していた者は、遠く離れてしまう友人と豆に連絡を取り合い、いつまでも変わらない親友であり続ける事となる。私達の世代では裏切りや派閥争いが少なく大いに繁栄する事となる。
そして─
「マリア王妃様、お身体は如何ですか?」
妊娠したマリアの部屋に私はやってきた。
「シオン!私的な時はその呼び名は止めてって言ったでしょう!」
拗ねた顔でプイッと顔を振る仕草が可愛いと思ってしまう。
「止めないなら私もこう言うわよ。シオン第二王妃様」
そう、これが私の今の呼び名であり、みんなで幸せになる方法だった。まぁ男爵では流石に王妃には無理だったのでフリージア公爵家に養女として入り、マリアと姉妹になって二人でレオン王子と結婚したのだ。
普通であればあり得ない話しだがそれはほら、ヒロインパワーのご都合主義ってやつでね。でも多少は話が通じるのよ?マリアと一緒に王妃教育受けて居たから。ただ、私の立場は側室のはず何だけど、回復魔法で大勢の人を救っている実績があるし、何よりマリアが嫌がったので第二王妃と言う肩書きが与えられた。でも私もその呼び名に慣れないんだよね。
「ごめんなさい、もう言わないから許して」
マリアに手を合わせて謝る。
「ふふ♪怒って無いわよシオン。意地悪を言ってこちらこそごめんなさい」
子供が出来ると情緒不安になるって言うしね。私のお腹にも子供が宿っているし。
幸せなのは良いのだけど、夜は3人で何て考えていなかったからすごく恥ずかしいのよね。レオン様、お疲れ様です!私は顔を少し赤めながらお腹を擦った。
これが私の選んだ道だ。
大切な彼女と夫に支えながらこの幸せがずっと続けばと願い続ける。誰も不幸にならないハッピーエンド!ちょっと百合に目覚めちゃったけど子供も出来たし今が幸せならいいや!
これで私のお話はおしまいです。唯一?ざまぁ要素が無くてごめんなさい。また何処かのお話でお会い致しましょう。
最後まで付き合って頂きありがとうございました。
私の作品では珍しいヒロイン転生でした。
まだまだ拙いですが、少しずつ良い作品が出せるよう頑張りますので、暖かい目で読んで頂けると助かります!
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他にも多くの小説を投稿しているので、読んで頂けると嬉しいです。
代表作
【悪役令嬢戦記!~大切な人のために戦います~】
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イラストや挿絵は自作です♪
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【婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪】
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