いざ学園へ
――時が過ぎ、迎えた月曜日の朝。
休日は優奈とゲームで盛り上がったきり、特に何かするわけでもなくのんびりと過ごしていた。
農作業の手伝いといえば、俺が学校生活に慣れてきた辺りから手伝わせるつもりらしく、結果的には暇だったのだ。
これから向かう木立川学園も、優奈曰くそんなに賢い学校でもないとのことで、机に向かって勉強することもなかったし。
「裕也君、行くよ~」
「あぁ」
着慣れないブレザーに身を包み、優奈の隣を歩く。
後ろでは新兵の初陣宛ら、身内全員が俺を見送ってくれた。
これからは毎日、優奈と登校することになりそうだ。丁度同じ学校の同じクラスになるらしいから。
「――そういえば、何で分かったんだ?」
「何が?」
「俺がお前と同じクラスになること」
「あぁ、それは人数の関係だね。私のクラスから4人も学校辞めちゃったし、他のクラスは40人ぎっしり詰まってるし」
「なるほどな」
結論、単なる予想に過ぎないようだ。とはいえ正当な見解だし、そうなるだろうとは思うが。
しかし珍しいこともあるんだな、1クラスから4人も学校を辞めるとは。この地域の過疎化が影響しているのだろうか。
そうなると転校生とは珍しい部類に入るのかもしれない――なんだか嫌な予感がしてきたぞ。
「あ、裕也君」
「んだ?」
「うちの学校にいる、師岡っていう先生には気をつけてね。とことん生徒を罵倒してくるから」
「何だそのクソみてぇな教師」
「ま、まあ深く関わらなければ大丈夫だよ。うちの担任だけど、ほっとけばオッケーだから」
「おいっす」
生徒にとって害のある教師が居る――どうやらこれについては田舎も都会も大差ないようだ。
教師としての務めは全うするものの、一々細かくて面倒臭い人だったり、指導がやたら熱血な人だったり、とにかく課題を多く出す人だったり。
俺が孤児院から通っていた学校もそんな感じだった。
「このバス停まで来たら、あとは木立川学園前まで向かうだけだよ。公共交通機関だけど、スクールバスみたいなものと捉えてもいいかな」
優奈の説明を聞きながら、俺は考え事に耽る。
これからの学校生活をどうしようか、割かし真面目に考えていたり。
嘗てのようにならないためにはどうすればいいか。平和に過ごすためにはどうすればいいか。
――とりあえず出てきた結論は、優奈の言った師岡先生に気をつけることだった。