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夢みる未来  作者: 風純蓮&水恋歌
夢みる未来~本編~
4/22

裕也の部屋

「ここだよ」

「ここ――って」

 勉強机が2つ。ぬいぐるみ。ピンク色の敷物。もう話が見えてる。

「――先に聞きたい」

「何かな?」

「元、誰の部屋?」

「優奈だよ」

 予想的中。

「いやね、本当は君専用の部屋もあるんだよ。でも物置になってて、まだ掃除できてないんだ。だから優奈の部屋で我慢してくれないかな。優奈も快く許可してくれたから、安心して寛ぐといいよ」

 祐希の部屋ではない、転じて同姓同士で纏まっていないところが謎である。

「――因みに、祐希の部屋は一体……」

「あー、それ僕も思ったんだけど……」

 この質問が飛んでくる事を予想していたのか、若干苦笑いの祐希さん。

「僕の部屋、見てごらん」

「お、おぉ……?」

 優奈の部屋の向かい側が祐希の部屋らしい。扉の取っ手を手に取り、あけて電気を点けてみると――

「――」

「――ね?」

 足の踏み場がない、とはこの事を言うのだろう。床には色んなものが散乱してて、敷きっぱなしの布団の上だけ綺麗だった。

 しかも部屋全体が肌色だ。壁のみならず天上や襖にまで、隙間なくビッシリとポスターが貼られている。

 ポスターだけじゃない。フィギュアやグッズまで買い揃えられており、ゲーム機などの家電にもシールが貼られていたりとトコトン染めている様子。

 染めているのは全て、9人の主人公から成るアニメのキャラクターだ。名前は忘れたが、中でも紫髪の人のが多い。

 ――うん。確かにこれは他人を招ける部屋じゃない。

「いやぁ、巨乳っていいよね」

 見惚れたように――実際に見惚れているのだろうが――そのキャラの胸を見て、光悦とした表情を浮かべる祐希さん。

 何というか――イメージと全然違う。この方いかにもリア充って感じがしたんだが、やっぱ現実は甘くないってことなのか。

 最近の女子は金持ちでイケメンなら良いとか言ってるらしいが、どうなんだろうか、そこんとこ。

 ――って、何を真面目に考えてるんだ俺は。

「お兄ちゃん」

「!?」

 いきなり優奈の声が聞こえてビックリした。っつか、足音聞こえなかったぞ。

 驚いたのは祐希も同じらしく、慌てて勢いよく扉を閉める。どうやら俺は妹さえ知らない趣味に触れてしまったらしい。

「そういえば気になったんだけどさ」

「ん?」

「裕也君のこと。別に私の部屋じゃなくても、お兄ちゃんの部屋で良かったんじゃない?」

「そ、それは――」

 一瞬だけ言葉を探し、すぐにぎこちなく口を動かす。

「裕也がここに来る前、言ってたんだよ」

「?」

 ――は? え、何を? 俺何言ったの?

「男の部屋よりは女の子の部屋のほうが良いって」

「いやちょっとまて、言ってないぞ! 俺はおじさんと少し話をしただけで他は何も喋ってないから!」

「あー……あはは」

 困ったように笑う優奈である。

「裕也君も、そういう年頃なんだね」

「ち、違うって! だから――」

「でも、初対面でいきなり襲おうとするのはダメだと思うなー」

「別に禁欲主義じゃないけど俺はそこまで落ちぶれてない!」

 適当な理由をでっち上げるのは良いが、それで俺を巻き込まないでほしいんですが祐希殿。

「あはは、冗談冗談。どれだけ整理整頓しても部屋が広くならないだけだから、特に深い理由はないよ」

「なんだ、そっか」

 冗談という言葉がどれだけ卑怯か、今この時思い知った気がする。

 こうなったら仕返ししてやろうかとも思ったが、流石に無礼かと思って止め、手を引かれて優奈の部屋に入っていくのだった。

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