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夢みる未来  作者: 風純蓮&水恋歌
夢みる未来~本編~
21/22

拒絶

 さて、寝かせたは良いもののどうしようか。

 店も遠ければ趣味も無いため、現状では新しい暇つぶしの手段が潰えている。よって、お駄賃が溜まっていく一方で暇つぶしの手段が無い。

 今この時のみならず、それはいつだって同じことが言えるわけで。

 暇になると暇つぶしができない――分かってはいるのだが、農作業ばかりやってた所為で気にしなかったのだ。まさかこんなことになろうとは思いもよらず、想定外の暇である。

 今日は休日。優奈により強制入部させられた演劇部の活動も無く、予定では農作業を手伝うつもりだった。

 ――すると。

「裕也、おるか?」

 ノックと共に、おじさんの声が聞こえてきた。

「入るぞー」

「えっ」

 しかも了承もなく入ってきた。

 何ということだ、膝の上では優奈がスヤスヤと寝ている最中だというのに。

「荷物を運ぶの手伝……」

「……」

 俺の膝で寝る優奈を認め、固まるおじさん。

 同じく俺も固まっている。

「――裕也」

「はい」

「優奈に何かしたか?」

「なわけ! ただ――」

 この際なので、俺は現状の優奈について話してみることにした。

 おじさんはそれを真面目に聞き、話し終えたところで、うんうんと何度か首を振ると。

「裕也」

「はい」

「諦めるんだ」

「マジっすか」

「大マジじゃ。その様子じゃきっと何を言っても止めん――大人しく懐かれとけ」

「ちょ……」

 荷物運びの手伝いは何処へやら、おじさんはそのままカッカと笑って部屋を出て行った。

「……」

 残された俺は、尚も固まるのだった。

 やがて硬直が解けたきっかけと言えば。

「――エアコン、さみぃな」


 設定温度を変えながら、ふと何となく優奈の頭を撫でてみる。

 彼女の柔らかな髪は撫でているだけで心が和らぎ、不思議とどこかほっこりできた。


 ――何となく新鮮で、どこか懐かしい感覚だ。

 満更ではなく嫌な気もしないが――何故か拒絶反応があって、俺は手を除けるのだった。




「――元気に生きろ」




 誰かの言葉が脳裏を過ぎる。

 声色も主も不明で、誰のかは分からないが。

 これも懐かしくて新鮮で、拒絶してしまうものだった。

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