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こころの童話  作者: yuzu
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エピローグ

 そこは、青い空と緑豊かな草原だ。右手には森が、

左手の奥には山がそびえ、小川が流れている。

(ここは・・・俺は若返ったのか?俺は、死んだのか?

奈月は?探さないと)


「圭介さん」

「奈月、どこだ・・奈月」あの頃の彼女が、小川のほとりに

立っていた。懸命に走った。どこかへ消えてしまう気がした。


「本当に、奈月なんだな?本物なんだな?」


彼女は、うんうんとうなずく。力一杯抱きしめた。

涙が止まらない。


「お前は、お前は・・」言葉が出てこない。



 二人は、抱き合ったまま、心で会話をする。


(待っていてくれたんだな?)


(圭介さんの声が聞こえたの。待っててくれ。俺を忘れるな

って)


(そうか、お前に届いたんだな。どんなに会いたかったか。


 奈月、一つだけ、お前の口から聞きたい。あの時、俺を

好きだったか?)


「はい」


(約束してくれ。ずっと俺の側にいてくれ。もう二度と、

俺から離れないでくれ)


「はい」


 やっと安心して、抱きしめた腕を弛める。彼女は、

あの優しい笑顔を俺に向けている。


 苦しんだ日々など、どこかに飛んでいってしまう。

俺を振った女。俺を苦しめた女。俺が恨んでいた女。

俺を残していった女だ。


「奈月、あの時の俺は、お前のことを何も知らなかった。

なのにどうして、お前を忘れられなかったんだろう?」


 奈月は、あの、いたずらっ子の目を向けている。


「それは、私が魔法をかけたから」

「いつ?どんな?」

「別れの手紙を書きながら、私を忘れないで、って」


フッ・・お前ってやつは。

 もう一度、きつく抱きしめる。


 俺は、やっぱりお前には適わない。でも、それでいい。

話も山ほどある。でも、あとでいい。


 もう、俺たちの時間は、たっぷりあるのだから。






 拙い文章を最後まで、読んでくださり、ありがとうございます。

読んでくださった方の中に、ほんの少しでも何かを残せたら、

幸せに思います。


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