プロローグ
アゴアゴア大陸全土を支配して、見事な統治国家を築いた「ヘルヤ家」は窮地に追い込まれていた。三世というのはやはりいつの時代も馬鹿者が生まれがちであるが、このヘルヤ家も「ヘルヤ=ベジュン」とかいう汚れに利権を託してしまったがばかりに、国の衰退に頭を悩ませていた。ヘルヤ家は瞬く間にその酷い政治を治そうとしたのだが、べジュンの政治というのは狡猾で、家族でさえも簡単に治せないように複雑な仕組みを作り出していた。人口の減少、賃金の低下、税は増大し、国民の意見を完全に無視した政策を続ける。リコールもできないようにされ、国民は怒りに膨れ上がった。
アゴアゴア大陸全土を支配し、歴史上最悪の政治国家と言われたヘルヤ家は国民の堪忍袋をペーストしにしてしまった。ガジェンダ=エボバルトは工場で働くしがない一般市民であり、娘の「コルニ」を養うためにその老体に近づく体で日々労働に明け暮れていた。日々打ち付けられる鞭に、背中の傷は次第にドラゴンのように伸び長く絡まり合って、赤く腫れあがり膨張した背中は、その工場の悲惨さを物語っていた。そんなエボバルトはある日、コルニに背中の傷がバレてしまい、コルニが泣いてしまったことで何かが切れた。
エボバルトは立ち上がった。工場の同僚、近場の住民などに声をかけ、人々を奮起させ、そして集まった人々でヘルヤ家に猛抗議をすることにした。農機具を手に取り、機械を改造武器にし、拡声器を手に持ち、旗を振り、街を練り歩いてその列を伸ばしていた。それは背中の晴れ上がった傷のように、様々な人間が絡み合うように練り歩き、怒りが赤く染まるその行進。無論、革命である——




