4章2話 作者、友を守る
学校に到着すると、俺たちはそれぞれの教室に移動した。
中学校にもなると、クラスが多く中々一緒のクラスにはなれないものだ。
俺は汐音と柊と同じ3組。1組にはジン。2組には桃子、鈴蘭、練。4組にカイと言った感じだ。
なんとなくだけど、このクラス分けは本編の影響を受けている気がした。
鈴蘭たち4人は本来、別々の道を歩むはずだった。
別々と言っても、鈴蘭と桃子は一緒だったし、練は月花に言われて鈴蘭を監視していた。
それを考えてもなんだか、本編と一致するようなクラス分けだ。
教室に着くと、まだクラスメイトはまばらだ。
俺の席は廊下側の1番後ろ。隣は汐音だ。
椅子に腰を下ろし、1限目の準備をし、ホームルームに備えてクリアファイルを準備する。
特にすることもないので、隣の席の汐音を見やると読書をしていた。
俺の視線に気がつくと、垂れた前髪を耳に掛けこちらに視線を送ってくる。
「どうしたの?」
「何読んでんのかなーって」
「ああ、これ?『ヒトツメの恋』ってやつ」
「恋愛モノ?面白いの?」
「どうかな。たしかに女の子好きそうな展開多いかも。イケメンの妖怪と女の子のお話し。……柊に貸してもらってるの。なんか悲しい気分になったから貸しますって言われたけど」
「あ、面白くて貸してくれた訳じゃないんだ。」
「私、人間と妖怪の恋愛ってそんな簡単に行って欲しくないんですよね。」
「うわ!びっくりした!」
柊の話をしていると、俺の席の前に柊が立っていた。
俺はいると思っていなかったので、驚いてしまう。
「コンセプト的には悪くないと思いますよ?でももうちょっとギクシャクして欲しいというか、最後はお風呂に入って儚く溶けてしまうとか、そういうの欲しいですよね。」
「それは雪女だろ。」
「汐音さんはあんまりキュンキュンしませんでしたか?」
俺のツッコミはガン無視で、柊は汐音に感想を尋ねる。
「どうだろ、私は受けより、攻めたいからなあ。なんか放っておけないやつとか、一緒にいて安心するやつとか、そういう人と恋愛したいからかな。」
「なるほど。典型的な負けヒロインですね。」
「あんた、喧嘩売ってんの?言っておくけど、クール系も負けヒロインですが!?」
「それを言うなら、ツンデレツインテールなんてもっと時代遅れですよ。」
「はああああ!?ツインテールは正義ですが!?青髪の方がよっぽど負け確よ!」
「あらあら。言ってはいけないことを言ってしまいましたね。」
「また始まったよ」
汐音と柊はすぐにこれだ。遠回しに相手のことを貶し合う。仲がいいのか、悪いのか。
俺は横目で2人の言い争いを眺めながら、ぼーっとする。止めても無駄だと長い付き合いで理解したからだ。
そういえば、最近本とか読んでなかったな。しばらく修行ばっかだったしな。
「俺のおすすめはこれだな!」
「話聞いてたのか」
廊下からジンが自然に入室してくると、漫画の本を俺の机に置いてくる。
「………『神成のジェネシス』?面白いのか?これ?」
俺たちの会話を聞いて、好きな漫画を勧めてきたのだろう。
絵柄は結構好みだ。ファンタジーだろうか?色とりどりの髪色の少年少女と、魔法や剣が目立っている。
「俺の推しは断然ルネフィーラだな!可愛くて献身的だぞ!」
「わかってないな。ジン。どう考えても、シルビアが一番可愛いだろ。」
推しの話を始めたジンを遮るようにカイが現れた。廊下側の席ってこんなに面倒なんだな。
「は?お前見る目ないだろ。ルネじゃないなら、リタルトだな。」
「お前鈴蘭みたいな子選んでるだけだろ。」
「いやいや、お前もな?桃子みたいだろ!ツンツンしてて!」
少し作品に興味があったのだが、ジンはカイと推しの話で盛り上がっている。まったく、中学生になってもみんな変わらないなあ。
◆◇◆
「おすすめの作品かあ。アタシは断然『白銀勇者ヴアラ』ね」
放課後の帰り道。
たまたま全員部活も委員会もなく、一緒に帰宅する。
帰り道は好きな作品の話で、盛り上がっていた。
汐音、柊、ジン、カイが話終えると、桃子が次に話してくれた。
「へえ、ファンタジーもの?桃子、そんなの読むのか?」
カイが不思議そうに質問する。
確かにあまりそういうのを読むイメージはなかった。オシャレなファッション誌や恋愛ものが好きなイメージが勝手にあった。
「ほら、今話してくれた『神様のジェネリック』?だっけ?カイがハマってるって言うから、見てみようとしたのよ。」
「神成のジェネシスな。」
「そうそれ。」
「え、でも桃子ちゃん、神成のジェネシス?は読まなかったんだ。別の作品ハマったってこと?」
「間違えて違うの買ったんだろ。名前間違えてたし。」
「そうなのよ!名前覚えらんなくて、間違って買っちゃったのよ!でもね、結構面白いのよ!すっごい中途半端なところで終わる作品なんだけど、幼馴染と主人公がいい感じなのよね!……お互いを想いあってて、よくあるダメダメ主人公じゃなくて、ちゃんと幼馴染のこと好きって言うのを全面に出してるのよね。しかも相思相愛!お互いを支え合って、お互いのために強くなる!なんて良い話なの!」
「え、え?ぜったいそこメインじゃないでしょ。」
汐音がすかさずツッコミを入れるが、桃子は主人公と幼馴染の恋愛模様についてずっと語っていて話は聞こえていないようだ。
「桃子、ずっとはなしてね?」
引き気味にジンがカイに話を振ると、カイは頭を抱えながら答える。
「あいつ語り出すと止まんねーんだよ。何勧めても基本ハマらないくせに、ハマると、とことん沼るんだよな。散財するし。」
「さすがお嬢様だな。……ふっ、幼馴染は大変だな!」
「うるせ」
ニヤニヤと笑いながら、ジンはカイと肩を組む。
カイは疲れたように返していた。
苦労してるな、幼馴染。
「鈴蘭はおすすめのなんかある?」
ずっと、マシンガントークを続けるモモコを他所に、俺は鈴蘭にも聞いてみた。
「私?オススメかー。うーん。最近は『ハザマのアクマ』読んでるよ。」
「おお!鈴蘭も読んでるのか!俺様も読んでるぞ!おもしれえよな!」
鈴蘭の言葉に練は嬉しそうに反応する。
「おお、練も読んでるのか」
「おうよ!バトルあり、涙あり、恋愛あり、の今激アツの作品だぞ!んだよ!創助!知らねえのか!」
「初めて聞いたわ。流行ってるのか?」
「どんな話なの?」
汐音も興味ありそうに聞いている。鈴蘭は嬉しそうに答えてくれた。
「悪魔と人間が生活していく話なんだけど、章ごとに悪魔と人間が変わるの。色んなパターンの悪魔との絡みを楽しめて面白いんだよ。」
「日常描写の絡みもいいけどよお!やっぱバトルだよな!悪魔のかっこよさがすげえんだよな!」
「私は能力的な部分難しくてよく分かんなかったけど、とにかく悪魔とキャラクター同士の絡みが素敵なの!」
「万人受けしそうな感じだな。」
「へえ、バトルも熱いのか!見てみようかな!」
カイとジンも興味ありげな感じだ。
「どれも面白そうだな。とりあえず片っ端から見ていこうかな」
「いいんじゃない?あんた、よく図書館行ってたじゃない」
「そう……だったか?」
「うん。覚えてない?」
汐音が疑問符を浮かべて小首を傾げる。
それはきっと───────汐音が知る本来の創助の話なんだろう。
彼女にとっては、当たり前の話。
でも俺の記憶に、そんな記憶はなかった。
なんだか少し寂しくなり、オレは静かに微笑んだ。
「そう……だったな。」
「………?」
汐音は心配と困惑が入り交じったように、顔を覗き込んでいる。
少し寂しいと感じたのは、元々この世界で生きてきた創助はどうなってしまったんだろう、とそんなことが過ぎったからだろう。
そしてこの世界に俺のことを知っている人は誰もいない。
そんな疎外感を感じたのかもしれない。
少しテンションが下がりながら、歩いていると分かれ道に差し掛かる。
「今日はここまでだな!創助、読んだら感想聞かせろよな!」
「わたしは観賞用と布教用と保存用、取り揃えてるから、いつでも言ってね。」
「ありがとう、読んでみるよ。」
「私も読んでみようかな。鈴蘭、貸してくれる?」
「うん!もちろん!」
「カイには俺様が貸してやるよ!」
「いいのか?ありがとな。」
全員で別れの挨拶を進めていると、背後から柊が話しかけてくる。
「……主、数刻前から不穏な気配を感じます。恐らく、誰かを狙ったものと思われます。ここで皆さんと離れるのは得策ではないかと」
「え?なんだよ?それ?」
「分かりません。ただ、何となく嫌な予感がするのです。」
いつにも増して、真剣な眼差しで訴えかける柊。
もしかして、九尾が来るって言うのか?
でもだとしたら、ジンが何かしらのアクションをするはず。
それに妖怪が近づいているなら、俺にもわかるはずだ。
「じゃあ、またね。みんな!今日は久しぶりにみんなと話せて楽しかったよ!」
俺が思考していうちに、全員帰路に向かう。
「まっ───────」
俺が待ってくれ、と言葉を発しようとした刹那、視界は歪んだ。
「なんだ、これ!?」
為す術なく視界が歪み続け、体の自由は効かなくなっていく。
歪みの中に飲み込まれ、気がつくと、俺は地面に倒れていた。
「さすがにいい子ちゃんすぎるな、お前たち。一人になったところを狙おうとしたんだが、余計なモノまで釣れちまった。」
「……なに?」
ようやく動けるようになった体で顔をあげると、白髪の年老いた男性が立っていた。
空は紫色に染まり、地面一面は白で統一されていた。
紛れもなく、別の空間に飛ばされたと即座に理解する。
転移術式。月花から聞いたことがある。霊能者が得意とする空間を歪め、一時的な亜空間を作る出す術式だ。
視界の端には同じように倒れ込んでいる鈴蘭やジンもいた。
どうやら、俺たち三人だけが見知らぬ空間に飛ばされたらしい。
他のみんなの姿は見当たらない。
ひとまず、状況を整理しよう。目の前にいるのは、間違いなく霊能者。
俺とジンが対応出来なかったのは、相手が妖怪じゃなかったからだ。
そして、柊の言葉を信じるなら、敵対意識があるということだ。
なんで、霊能者が俺たちを狙う必要があるのか、分からない。
だが、はっきりいって、状況は最悪だ。
俺は練や柊がいないため、チカラを半分も出せない。
鈴蘭は覚醒していないから、俺より弱い。
辛うじて戦えるのは、ジンくらいだ。
「いっつつ、なんだここ?」
「あ、あれ?み、みんなは…?」
ようやく気がついて体を起こす二人。
「よくわかんないけど、気がついたらここに飛ばされていた。多分、目の前のやつの仕業だ。」
オレはまだ状況の飲み込めていない二人に簡単に説明してみせる。
「え、え、え?」
俺の話を聞いてもなお、鈴蘭は混乱しているが、ジンはおもむろに目の前の男に近づく。
「……父さん?」
「「え?」」
ジンが発した言葉に俺と鈴蘭は混乱する。
ジンの父親?
ジンは今、間違いなく、目の前の男を『父さん』と呼んだ。
目の前の男は、ジンの父親『琴上恭』だって言うのか?
「ジンとそこの男の子には、用はない。黙って立ち去るなら、俺は何もしない。」
「教えろ!何が目的だ!」
「どういうつもりだ。父さん。鈴蘭に、俺の友達に何をするつもりだ?」
「お前たちに用はないと言っただろう?強い霊能者のみを捉えたつもりだったが、おまえ達が勝手に釣れただけだ。」
「霊能者……?創助くんも霊能者なの!?」
「面倒だが、従わないなら、動けなくするだけだ……!」
俺たちが従わないと判断したのか、男は臨戦態勢となる。
狙いはおそらく鈴蘭。
逃げるしかない。
できるのか?俺に。
逃げられるのか?この男から。
でも、やるしかないだろう。
きっとこんな状況になったのは、原作を改変した俺のせいだ!
「まじかよ!マジなのかよ!?父さん!!!」
「悪いな。ジン。俺はその子を『幌先鈴蘭』を殺さなきゃ行けない!!!!」
男は突如、大きな声を出すと、勢いのまま鈴蘭目掛けて突撃してくる。
早い。
早すぎる!!!
この2年修行してきたけど、目で追うのがやっとだ。
体の反応が追いつかない。
「すずらああああああん!!」
オレは叫ぶことしか出来ない。
鈴蘭は姿勢を低くして身を守ろうとするが、とても脆弱な構えだ。
間違いなく、吹き飛ぶ。
刹那。
男と鈴蘭の間に、ひとつの影が走る。
「鈴蘭!逃げろ!!!ここは俺に任せるんだ!!!」
「ジンくん!?」
「なぜ邪魔をする!!ジン!!!」
「何度も言わせんなよ!!!鈴蘭は俺の友達だって言ってんだろ!!!!」
ジンは男の拳を鞘で受け止めていた。
どうやら、鈴蘭は無事らしい。
「行くぞ!鈴蘭!!」
「でも、ジンくんが!!!」
「あいつはそんなヤワじゃねえ!!!お前なら、わかるだろ!!」
俺は尻もちを着いている鈴蘭を無理やり立ち上がらせ、男から離れる。
「任せたぞ!創助!!!」
「死ぬなよ!ジン!!!」
「死にゃあしねえさ。ちょいと、面倒な親子喧嘩するだけだぜ!!!」
去り際ジンは俺に微笑むと、男の拳を押し返し抜刀する。
「聞かせてもらおうか。鈴蘭を狙う理由を。」
「お前なら気がついているはずだ。あの子は百合野の子孫。天邪鬼をその身に宿す鬼の子だ。」
「それがどうしたよ。だからって父さんが鈴蘭を殺す理由にはなんねえよ。」
「………俺はカイナを殺せなかった。だが、妖怪を殺さなければ、殺し続けなければ、俺は、いや俺たちはいつか霊能者に殺される。……人間であるために奴は殺さなければならないんだ!!!」
「意味わかんねえよ!!!!」
◆◇◆
ジンが男の相手をしてくれたお陰で、何とか距離を取ることができた。
何が起きているのか全くわからないが、恐らく九尾絡みの因縁が動き出していると、考える他ないだろう。
「ぜえ、ぜえ、ぜんぜんここ、出られないね」
肩で息を整えながら、鈴蘭は辺りを見渡し言う。
鈴蘭の言う通りだった。
どこまで行ってもこの術式から逃れられない。
男から距離を取ることはできたが、この空間からは未だに抜け出せていない。
「あーあ、やっぱり逃がしたかー。昔から詰めが甘いんだよなー。必死さは見てて面白いけどな。」
「くっ………」
「誰?」
どこからともなく突然現れた男。
黒のジャケットを身に纏う男に、俺も鈴蘭も見覚えはなかった。
だが、明らかに味方ではないことは確かだ。
「どもー。オレは『幌先咲』。鈴蘭お前の叔父さんだよ。」
「ほろ……さき?」
「そう。栄介の弟が俺。……その目、兄貴そっくりだよ。そして呪われたその見た目、ユリノ姫君の生き写し。気味が悪い。」
どう考えても話の展開が早すぎる。
幌先咲なんて、ほとんど終盤に出てくるキャラだ。
百合野家の命令で鈴蘭を殺すために動いている男だ。
鈴蘭の中にいる天邪鬼は世界を崩壊させる厄災の鬼。
百合野家は代々その身に鬼を封印し、鬼をこの世界から消すことを悲願としている。
そして今の当主は最も過激な思想を持つ百合野李夢。
鬼を宿すユリノ姫君の血筋すべてを殺し、最後は封印してきた鬼ごと自分たちも死のうというイカれた思想を持っている。
「そうか。お前がジンのお父さんをたぶらかしたんだな。」
「まあ、それしかないだろう?ぜんぜん賢くないぜ?少年。」
「意味わかんない!もうやめてよ!!!なんでこんな酷いことするの!!!」
「簡単な話さ。お前は生まれてきては、いけなかったんだ。お前が生まれてきたこと自体がこの事態を引き起こしている。酷いことが起きているのは全部お前のせいだ。」
「そん……な……」
軽い言葉だが、咲の言葉は何故か鈴蘭の心を深く傷つけた。
鈴蘭は力尽きるように、その場に蹲る。
「なっ……!?」
「おいおい、この程度で狼狽えるなよ。もっと俺を楽しませろよ。雪娘を従えた茅野創助くん。」
「なんで、それを!?」
「そりゃあ、調べるさ。霊能者の一族でもねえのに、突然現れて膨大な力を奮っていたらな。さあ、やりあおうか。少年!!!!」
「ぐはっ!?」
刹那。腹部に咲の拳がめり込む。
突然の出来事に対応しきれずに、オレはその場に倒れる。
「大したことねえなあ。もう終わりかよ。わりいけど、生きて返すつもりはねえんだわ。鬼を守るやつは、みんな殺せってな。悪く思うなよ?」
息ができない。
頭が働かない。
なんでここまで、急にピンチになってるんだ?
全部俺が悪いってのかよ。
くそ!!!
くそ!!!!!!
オレはどうしたら良かったんだよ!!!!
教えてくれよ!!!
「じゃあな。少年。」
男は拳に霊力を込めて、振りかざす。
『やめて』
その拳を鈴蘭の小さな声がとめた。
「ぐっ!?な、なに!!!『言霊』だと!?……クソッタレがあ!!!腐っても幌先か!!!!」
「私の友達に手を出さないで!!!創助くんは、私を信じて背中を押してくれた人なの。傷つけるなら、私、許さない!!!!」
ユラユラと立ち上がる鈴蘭。
鈴蘭の霊力がみるみるうちに上昇していく。
これが鈴蘭の本当の霊力?
世界だ。
世界がそこにはあった。
霊力だけで世界を飲み込むような膨大な力が。
「あっははははは!!!一丁前に霊能者ぶってんじゃねえよ!!!てめえは鬼なんだよ!厄災なんだよ!忘れてるみてえだから、思い出させてやるよ!この世界の悪意を!!!てめえのその醜い霊力の原点を!!」
そうだ、思い出した。
幌先家の能力は『言霊』。
言葉に霊力を込めて、戦う一族だ。
そして、原作で咲は鈴蘭にユリノ姫君の記憶を呼び起こさせる。
それは古くから続く琴上家との因縁の記憶。
「……ダメだ。それは見ちゃダメだ!!!」
前世の記憶は強すぎる呪い。
この呪いのせいで、鈴蘭は悪意に苦しみ天邪鬼を呼び起こす。
せっかくみんな楽しく仲良くしてきたのに、こんな最悪な形で思い出すのは絶対にダメだ。
俺がとめなくちゃ。
俺がやらなきゃいけないことだ。
ここまで世界を歪めてしまった責任が、俺にはあるはずだ。
それ以前に友達が苦しむってわかってるのに、止めないのは絶対に変だ!
もう全部壊れたっていい。
これが俺の道だ!!!
刹那。俺は咲が唱えた術式をその身に受ける。
「創助くん!?」
「馬鹿野郎!!!邪魔すんなあ!!三下がああああああ!!!」
「ざまぁ……みやがれ」
一気に肉体の力が抜ける。
身体の霊力が膨れ上がって、悪意が全身を支配していく。
最悪だ。
気持ち悪くて、吐きそうだ。
この世界全ての悪意が無数に再生され、俺の中に流れてくる。
意識が保てない。
オレは意識を手放した。
最後まで読んでくださりありがとうございます。よろしけば、感想や評価、ブックマーク等、よろしくお願い致します。作品作りのモチベーションに繋がります。
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