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元竜騎の俺は郊外に住んでいたが王国騎士団長は俺をどうやら冒険者にしたいらしい  作者: みなと劉


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第32話 リーディアへの旅路と最新の野営

朝食を平らげ、食器を洗い、溜まっていたゴミを出す。そんな「生活のルーチン」をきっちりこなしてから、アルノたちは荷物をまとめて家を出た。目指すはリーディアの村。銀等級のアルノにとって、新人二人の引率を兼ねた重要な任務だ。

 王都を出る前に、まずは馴染みの道具屋へと立ち寄る。アルノが手慣れた様子で、予備の薪や保存食、そして大型のテント一式を選んでいると、エトリエルが不思議そうに首を傾げた。

 「え? アルノ、キャンプ用品まで買うの? 魔法でパッと行けないのかな」

 「何言ってる。リーディアまでの道が、ボリスから貰った地図通りなら片道二日はかかるぞ。転移魔法なんてそんなに気軽に使えるもんじゃないし、この人数だ。歩くのが基本だろ」

 「そんなにかかるんですね……。王都のすぐ隣かと思ってました」

 ルファスも意外そうに目を見開く。

 「だからキャンプ用品を揃えてるんだ。野宿を舐めると、魔物の餌食になるか、風邪を引いて任務どころじゃなくなるからな」

 買い物を終え、三人は王都の門を抜けて街道へと足を踏み出した。

 街道は整備されているものの、リーディアへ至る道は途中から起伏が激しくなる。アルノを先頭に、エトリエルとルファスが続く。

 道中、エトリエルが道端の草花に話しかけたり、ルファスが風の精霊と戯れたりするため、ペースは想定より少しゆっくりとしていた。

 やがて、空が茜色に染まり始めた頃。

 「日没まであと少しだな。今日はあの岩陰にある野営地までにするぞ」

 たどり着いたのは、冒険者が頻繁に利用する指定野営地だった。

 昨今、王国では「キャンプブーム」とも言える現象が起きており、誰でも簡単に設営できる『マジック・キャンプセット』なるものが発売されている。軽量化された骨組みと、魔力を流すだけで展開する防水布。これらのおかげで、旅行者や低ランクの冒険者でも安全に夜を越せる環境が整いつつあった。

 アルノは手際よくセットを展開していく。

 「便利になったもんだ。昔は革袋一枚で震えながら寝たもんだがな」

 だが、ここはあくまで外の世界だ。野営地の中心には「獣避け魔力ランプ」が設置されており、その淡い光の範囲内だけが、獰猛な魔物から守られた安全地帯となっている。

 「ルファス、お前はランプの魔力が切れないか見ておいてくれ。エトリエル、お前は……火を焚くのを手伝え。魔術でボッといかせるなよ、薪の管理も勉強だ」

 「はーい!」

 「任せて、アルノ」

 夕闇が迫る中、パチパチとはじける焚き火の音が周囲に響き始める。

 鉄等級の二人に「野営のイロハ」を教えながら、銀等級の農夫は、今夜の夕食の献立を考え始めた。

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