第28話 規格外の新人候補たち
「暁の軌跡」を名乗る連中をまとめて土に埋めた(物理的にではなく、気絶させて転がした)アルノは、手際よく荷物をまとめ、帰り支度を整えていた。
そんな中、エトリエルが男たちの守っていた奇妙な革袋をつつきながら声をかけてくる。
『ねえ、これなんだろ? 嫌な魔力の実が詰まってるみたいだけど』
(知らん。まあ、ギルドにでも持って帰ってマスターに報告して渡すよ。余計な火種は専門家に任せるのが一番だ)
『ふーん。……ねえ、アルノ。俺もついて行ってもいい?』
(……遊びたいだけか?)
アルノが呆れたように問うと、エトリエルは角の先をいじりながら少し真面目な顔をした。
『いや? ギルドに登録って、俺でもできるのかなって思ってね。最近、魔族の知り合いも人間社会に混じって働いてるって聞くし』
(まあ、できるんじゃないか? 今は共生の時代であり、戦時ではないからな。魔王ユーミちゃんの功績だよ。お前ほどの力があれば、引く手あまただろうさ)
『あ、わたしも! わたしも登録したいわ!』
不意にルファスの声が弾んだ。
(ルファス……お前、そもそも俺以外に見えるのかすら分からんぞ? 精霊は実体化しないと人間には認識できないだろ)
『大丈夫よ。……これでよし!』
ルファスが淡い光に包まれたかと思うと、そこには透き通るような銀髪を持つ、神秘的な少女の姿があった。どこからどう見ても、少し浮世離れした「人間」にしか見えない。
「あ、そういうことな……。初めて会ったときも、最初はその姿だったな。思い出したよ」
アルノは苦笑いしながら頷いた。
一人は元・最強の竜騎士、一人は上位魔族、そしてもう一人は高位精霊。
あまりにも濃すぎるメンツが揃ってしまった。
「よし。じゃあ、三人でギルドへ行くか。……ボリスの驚く顔が目に浮かぶぜ」
(……っていうか、俺のスローライフがまた遠のく気がするんだが、気のせいか?)
アルノは一抹の不安を抱えながらも、奇妙な連れを引き連れて王都への道を歩き出した。




