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セバスチャンは見た!〜意外と乙女な悪役令嬢のあれこれ〜

こちら、『悪役転生令嬢、メモに書き起こした王子たちの攻略情報を本人たちに送付してしまう。』(https://ncode.syosetu.com/n8556jo/)のスピンオフ……ぎみ?になっております。本編読まずとも大丈夫……だと思いたい←



(´・ω・`)

 



 当家のお嬢様は、幼い頃から聡明なところと、物凄くアホなところがございました。

 成長するにつれ、酷くワガママかと思いきや、妙に冷静でもあり、冷血な面も段々と出て来ました。

 一言でいうのなら、キャラブレです。


 そんなブレブレのお嬢様をご当主様も奥様も大変愛されておいでです。なので、私は執事の仕事はもちろんのこと、お嬢様を観察し、ご当主様たちにお伝えする役目も請負っているのです。


 思い出深いのは、五歳の頃でしょうか――――。




「ラウル、貴方って小さくて弱いのね。頼りなさすぎるわ」


 真っ赤なドレスを着て、仁王立ち。ビシッと指差した相手は、サザランド伯爵家のご嫡男であるラウル様。確かに線が細く、他のご子息たちと比べると幼く見えます。

 奥様たちが仲良く、ザザランド伯爵夫人がラウル様をよく連れて来られていました。イザベル様とはいわゆる幼馴染といった存在になるかと思います。


「っ……ぼく、つよく、なる」


 そもそもです、羊が可愛いからと子供と二人で群れに突っ込めば、羊に襲われるというもの。

 羊は、自分より強いもの弱いものを見分ける力が高いのです。弱いと判断すれば、当然のごとく頭突したりと襲って来るのです。

 それらからイザベル様を守ろうとしたラウル様の心意気を褒めてあげてほしいものです。


 いやはや、懐かしいですね。

 次に思い出すのは、その翌年でしょうか――――。



 王城での奥様方のお茶会に、同年代の子どもたちも参加させようといったものがありました。

 そこには王太子殿下もいらっしゃり、初顔合わせと相成りましたが……アホ可愛いお嬢様は、足を肩幅以上に開き、左手は腰に、右手はビシィィィと王太子殿下を指差しました。


「貴方、綺麗な顔をしてるのに、なぜそんなに無表情なの! 常に笑っていなさいよ!」

「……お前はアホなのか? 楽しくもないのに笑えるわけがないだろう」


 至極正論を王太子殿下に言われてしまい、イザベル様は「キィィィィ!」と叫んでいました。

 殿下も殿下なのですが、流石にイザベル様が悪いなと判断したラウル様が、イザベル様の後頭部をぐいーっと押さえて謝罪していました。


「ちょっと、ラウル!? 髪が乱れるでしょ!?」

「申し訳ございません、王太子殿下」

「ん」


 これが三人が初めて出会った日でしたね。

 王太子殿下を目の前にして怯まないイザベルお嬢様、流石と言うべきか、アフォと言うべきか……悩ましいところではございました。




 それから数年、お嬢様は物語によく出てくるいわゆる悪役令嬢のような存在になりました。


『貴女、王妃陛下のドレスの色を事前確認しなかったの? 同じ色を着るなど不敬極まりないわよ? 帰りなさい』

 至極正論ですが、言い方というものがありますよ、お嬢様。あーあー、ご令嬢めちゃくちゃ泣いてるじゃないですか。そんなんだから悪役令嬢だって陰で言われるんですよ?


『煩いわね。あら? なぜ子爵家の貴女がこの会に? 連れてきてもらった? 招待状がないのに、入れると思って?』

 それはそうなんですが、彼女を同伴したのは公爵家の――――あ、はい。追い返しますよ。それが私の仕事ですからね。


『暑いわね。バスタブに水を張りなさい。風邪? こんなに暑いのよ? ひくわけないじゃないの』

 えぇえぇ。バカは風邪を――――おっと、誰かに呼ばれたようですね。はいはい、いますぐ風邪薬をお持ちしますよー。


『何で出してないのよ? 今日中に届けなさい!』

 そんな。レターデスクの上に雑に放置されている封筒なんて、触れるわけないでしょう? 今日中に出さなきゃいけなかった? いま夜の九時ですが? あ、はい。今から持っていって、使用人の不手際を謝ればいいんですね? はいはい、行ってきますよ。


『やはり、我が家と釣り合うのは王族よね? 婚姻相手は、王太子殿下でいいと思うのよね?』

 はいはい、そうですね。顔も耳も真っ赤で初々しい――――あ、いえ、何でもございませんよ。今日は暑うございますね。殿下への面会依頼ですか? はいはい。


『結婚してあげてもいいわひょっ』

 おやおや、噛みましたね。なんだか面白そうだと思って、馭者の振りをしてこっそり付いてきてようございました。王城は協力者――王妃殿下――がいらっしゃるので、侵入ゲフンゲフン観察は楽々です。


 王太子殿下の執務室をこっそりと覗いておりましたら、殿下にバレてギロリと睨まれてしまったので、退散する羽目にはなりましたが。まぁ、あの雰囲気はいい感じに纏まりそうですね。




 まさかのまさか、本当に王太子妃の座に収まるとは。予定調和すぎますね。気付いていないのはイザベルお嬢様だけというのも、なかなかに面白い状態です。

 これからも、『悪役令嬢』であるお嬢様の観察、続けたいものですな。



 ―― fin ――




こちらのタイトルは、しょしょ(´・ω・`)様(https://mypage.syosetu.com/2259406/)からいただきました!

タイトルにも『(´・ω・`)』←がいたけど、クビにした☆

クビにはしたけど、素敵なタイトルありがとうございましたした!(´・ω・`)

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