選択
アデライアと別れ、貸してもらっている家に帰って来ると、ルイシーナはしばらく一人で考えたくて居間に残った。
フェリペとの婚姻は避けたいが、どうしたってルイシーナには愛する家族を見捨てることはできそうもなかった。しかし断るだけでは妹は塵捨て場に捨てられ、両親は監獄に入れられてしまう。こっそり家を出る訳にもいかない。どうにかして自分のことを諦めてもらうだけでも足りなかった。皇室が家族に手出しできないようにしなければならないのだ。
しかし、どうやって。案が浮かばず、ルイシーナは窓から身を乗り出して月を見上げた。
ほとんど満月に近い月だ。ということは光の大集会が近いということだ。光の大集会は夜の闇に満月という光が灯る日に定めていた。
ふと、ある考えがルイシーナの中に浮かんだ。フェリペが【穢】と【光】を利用しようというのなら、自分も【光】と【煌女】を利用すれば良いのではないか、と。
考え込んでいたら気配を感じたので振り返ると、ベルナルドが立っていた。
「良かった。ルイシーナ」
ベルナルドはルイシーナの形を確かめるように背に腕を回し、ルイシーナを抱き上げて一緒に椅子に座った。
「……何があったのか教えてくれる?」
頷き、ルイシーナは全てをベルナルドに話した。アデライアがかつて【穢】を持っていて、再び【穢】を吐くようになったこと。アデライアの【穢】を指摘され、フェリペに脅されて婚姻を結ばされそうになっていること。両親とアデライアはルイシーナに逃げろと言っていること。
全てを話し終わると、ベルナルドは穏やかな声で問いかけた。
「君はどうしたい?」
問いかけているけれど、彼の瞳には不安そうな色は少しも浮かんでいなかった。ルイシーナが決意したことに気づいているようだった。
ルイシーナは先ほど浮かんだ考えを口にする前に、ベルナルドに確認することにした。
「ねぇベルナルド。私と一緒に死んでちょうだいと言ったら、死んでくれる?」
するとベルナルドは満面の笑みを見せて言うのだった。
「もちろん、喜んで」




