それは偶然
「姉さんが悪いのよ。いつも姉さんは私の理想を持っている。だから私は奪うしかない。私だってこんなことはしたくなかったわ。でもしょうがないの。殿下は私のものなんだから……」
ふらふらと後退したアデライアは、ガチャン、と何かにぶつかった。
テーブルに置かれていたランプが床に落ちて、火が床に燃え移る。
「嘘!?」
アデライアは慌てて火を消そうとしたけれど、火は衰えることなくむしろ勢いを増して広がっていった。
「ごほっごほっ」
煙が充満してきたので窓を開けた。すると空気を吸い込んだ火はさらに大きく燃え上がった。
「きゃあっ」
火に驚いて後退ると、足元を何かに取られて倒れてしまった。
床に倒れ込んだルイシーナだった。ルイシーナは炎が部屋を舐めていることも知らず、気を失っている。
アデライアは揺すってルイシーナを起こそうとしたけれど、ルイシーナは微動だにしなかった。仕方なく引きずって助け出そうとした。でも廊下に出たところで腕に力が入らなくなって、それも適わなくなった。
「こんな……つもりじゃ……」
みるみるうちに大きくなっていく炎。目を覚まさない姉。
アデライアは怖ろしくなって、その場を逃げ出したのだった。




