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煌女革命  作者: あまがみ


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酷い裏切り

「民衆が心変わりしたかとも思ったが、教会からは変わらず光の大集会への申し込みが殺到していると聞いている。良かったな。お前も充分反省しただろうから、今日から謹慎を解く。奉仕活動にも出るように。期待しているぞ」


 久しぶりに姿を現したカルロスが一方的に言って出ていくと、入れ替わりでクロエがやってきた。


「ルル。大丈夫? お父さんを恨まないでね」


「わたくしは大丈夫よ。わたくしがお父様を驚かせるようなことをしてしまったばっかりにこうなってしまったのだから。恨むことなんてないわ」


 クロエはルイシーナの精神状態を心配して本当に大丈夫か何度も確認してきた。クロエ自身が精神的に不安定なため、思うところがあるのだろう。ルイシーナが笑顔で大丈夫だと答え続けると、クロエは安心した様子で部屋を出ていった。


 こうして部屋の扉にかけられた鍵は解かれ、約三週間ぶりにルイシーナは解放された。


 孤独で気が狂った状態だったら、クロエの質問にさえ答えられなかっただろう。日常に戻って奉仕活動や光の大集会を続けるには時間がかかったはずだ。けれどもルイシーナの心は安定していて、明日にでも奉仕活動を再開しようと予定を立てられるくらいだった。


 ルイシーナが何の心配もなく日常に戻れたのはベルナルドのおかげに他ならない。


 たった一人の人を愛し、愛されることで心が満たされるなんて、初めてのことだった。不特定多数の人を愛し愛されることや、家族を愛し愛されるのとは違っている。ベルナルドを愛せば愛す程、愛されていると知れば知る程、ルイシーナの心は逞しく、それでいて柔軟になるのである。


 ルイシーナの変化には、ここのところ両親よりも過ごす時間の長いモニカがいち早く気づいた。


「近頃のルイシーナ様は楽しそうですね。監禁を解かれたはずみで心も自由になったのですか? 閉じ込められる前よりも開放的な気がしますよ。どうしてそんなに活き活きされているのですか?」


 花瓶に向日葵を生けるモニカの表情はどこか嬉しそうだ。


 理由が理由だったのでルイシーナは頬を赤らめ、落ち着かない様子で答えた。


「毎日ベルナルドに会えるから」


 単純だけれど事実なのだから仕方ない。


 監禁が解かれてからベルナルドは再開された奉仕活動に御者として必ずついてくるだけでなく、何かと理由をつけて会いに来てくれるようになったのである。


 ただしこっそりと。


 カルロスはベルナルドのことなど気にしていないが、相変わらずクロエはベルナルドを近付けないようにしてルイシーナには部屋に籠るよう言いつけたからだ。


 しかし適度なズルを覚えたルイシーナは、ベルナルドとの秘密の逢瀬を楽しんでいた。


 家族がすっかり寝静まった頃。ベルナルドがバルコニーの窓を叩いて、二人の夜は始まる。ルイシーナがベッドの下から等間隔で玉結びになったロープを取り出して持って行くと、ベルナルドが手すりに縛ってくれ、一人ずつ庭へ降りる。登るのは筋力が足りないのかまだできないけれど、ロープを伝って降りるくらいは朝飯前になった。


 真夜中の庭でベルナルドと過ごす時間は格別だった。灯りをつけないので身体を抱き合って歩き、大きな音を出して気づかれないよう顔を近付け、吐息に言葉を乗せて肌をくすぐるように話す。目が合うと唇を重ね、指を絡めて愛を確かめ合った。


 見つかったらどうなるか分からない緊張感さえ刺激的な甘い時間だった。ずっとこんな時が続けば良いとルイシーナは思っていた。心の底から幸せを感じていたのだ。


「ベルナルド……」


 しかしモニカは浮かない顔をした。どうしたのか聞く前にモニカは持っていた掃除道具を置いてルイシーナの足元に跪き、手を握ってきた。


 ぎょっとしたルイシーナにモニカは告白する。


「ベルナルドは……お嬢様を裏切っています」


「裏切り?」


 どういうことか尋ねたルイシーナに、モニカは耳を疑いたくなる話をした。


 ルイシーナは信じられなくて自分でも知らないうちに「嘘よ」と呟いていたが、モニカは首を振って言うのだった。


「証拠をお見せすることができます」

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