プロローグ
【煌女革命】
人は生まれながらにして【光】や【穢】を持つ。
かつて【光】や【穢】は見目では判断できないはずの善悪を一目で判断するための基準であるとされていた。
【光】は善。【穢】は悪。
【穢】は争奪を起こし、文理を犯し、秩序を乱すと考えられ、【穢】を持つ者はそうであると気づかれると隔離されて奴隷となった。やがて彼らはしばしば反乱を起こすようになり、遂には【光】を巻き込むことになる。
【光】を持つ【煌女】が【光】と【穢】の解放を唱えたのである。
これをきっかけに【穢】を持つ者を解放しようとする自由主義勢力は勢いを増し、【光】を持つ者も【穢】を持つ者も皆同じ人間であるという【光穢解放】が推し進められた。すべての市民が実力で自由・平等・政治的権利などを獲得したのである。これを【煌女革命】という。
この時【光穢解放】を宣言した【煌女】の名をルイシーナという。煌女ルイシーナは最後まで【光】を失わなかった稀有な存在であった。
そんな煌女ルイシーナは如何なる人物であったのだろうか。
見ず知らずの人のために動く勇気と、進言力を持った人だったと、ある者は言った。
聖人のように清らかな心を持った人だったと、ある者は言った。