きみとの最後の話2
グレン様に連れられた場所は美しい花々が咲き誇る庭園だった。
本家でここには何度も足を運んだ。
美しく、様々な花があり、眺めているだけで心が安らぐそんな場所だった。
庭園の中にある噴水の近くのベンチに近づき、私達は腰を下ろした。
「突然、こんな場所に連れて来て悪かったね。どうしてもきみに話したいことがあったから」
話とはなんだろうか…。
そんなことを思っていると、グレン様はポツリと言った。
「はっきりと僕のことを振ってくれてありがとう」
「えっ…。どうして、そんなことを…」
「実は僕、きみに子供の頃から好きだったんだ。きみは覚えてないかもしれないけどね」
「それって…」
子供の頃から…!
グレン様はそんな前から私のことを想っててくれたなんて今まで気づかなかった。
だけど、私は彼とは面識が無い。
もしかして自分が気づかないところでグレン様と会ったことがあるのだろうか…。
戸惑う私を見てグレン様はふっと優しい顔をした。
そして私の胸元に付けていたネックレスを指さした。
「そのネックレス。それがきみと僕を初めて出会わせてくれたんだ」
「えっ…」
彼の言葉に私は考えを巡らせる。
確か、幼い頃一度だけ母の形見であるネックレスを義妹に壊されたことがあった。
それもパーティーで。
誰も居ない場所で泣いていたら、パーティーに参加していた男の子と偶然出会い、彼にネックレスを直して貰ったことがあった。
(もしかして…あの男の子がグレン様だったの!?)
「グレン様はこのネックレスを直してくれた男の子だったのですか?」
確かめるように聞く私に彼は軽く笑った。
「そうだよ。あの時、初めてきみと会った時実は一目惚れだったんだ。僕は自分の初恋を叶えたくて、ずっときみを探していた。お互い出会った頃は名前も知らなかったからね。だから必死だったんだ」
グレン様は顔を上げた。
その時、柔らかな風がサァーと吹いた。
「僕はきみと婚約したかった。きみに相応しい人間になる為に必死で勉強し、父から認められるよう努力し続けた。いつかきみを見つけだした時、きみの隣に立つだけの相応しい男になりたかったから」
「でも、あの時の私は令嬢としての最低限しか着飾っていませんでしたし、グレン様に助けて頂いただけでした。そんな私を好きになってもらえる理由なんて…」
「言っただろう一目惚れだって。そこに理由なんてないよ。だけど今は少し後悔しているよ。何が何でも早くきみを見つけ出せば良かった。そうすれば今頃、きみは僕の妻になっていたかもしれないってね」
グレン様は自嘲じみた寂しそうな顔をする。
「グレン様…」




