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選んだ妻。

夜。

アルジャーノ本家の食堂にて。

食堂の席にはアルジャーノ家の当主、夫人、グレン様とニコラ様に私といった面々がテーブル席に着いていた。

侍女達が夕食の準備の為、テーブルに食器やグラスを置く中。

私は緊張していた。


ニコラ様のお父様であるアルジャーノ家の当主ダニエル・アルジャーノ様とは初めてお会いする。

先程挨拶をさせて頂いたが彼は口数少なく、寡黙な印象を受けた。

外見はニコラ様と同じ銀髪の髪に美しく整った顔立ちにニコラ様が年齢を重ねれば将来彼のような姿になるのではないと予想できてしまう程だ。


(料理は出来ることはやった。あとは当主様のお口に合うかどうかだけど)


「ねぇ、あなた。今日の食事はセシリアさんがち作ったのですよ。楽しみですわね」

「そうか。楽しみだな」


夫人は当主様に気づかれないようにニヤニヤしていた。

おそらくわざとなのだろう。

私に恥をかかせたいが為に。


「でも、美食家である旦那様に庶民のような田舎臭い料理を出されては困るわ。その辺はちゃんとしているのよね?」


「美食家ならどんな料理も美味しく食べられると思うがな。それに俺は毎日のように妻の料理を口にしているが彼女の料理が不味いとは一度も感じたことはない。母上は余程、贅沢に舌が慣れているみたいだ」


私が答える前にニコラ様は冷たい声音で夫人に告げる。

それに対して夫人は苛立った顔をした。


「ニコラ!言葉を慎みなさい。誰に向かってそのような口の利き方をしているのです!」


「やめろ。みっともない」


夫人とニコラ様の会話を断ち切るように当主様は低い声音で告げた。

その言葉に夫人達は黙る。


当主様は私に視線を向けて静かに口を開いた。


「すまないな。妻がきみに非礼を働いたようで」

「そんな、旦那様!私は…」

「黙ってろと言ったはずだが…」


当主様から冷たい目で一瞥された夫人は悔しそうな顔をして今度こそ押し黙った。


「いえ、そんな大丈夫です…」


(まさか当主様自ら謝罪されるなんて…。寡黙で厳しい方なのだと思っていたけれど、本当は違うのかしら…)


当主様に対してそのような印象を抱く私に彼は再び口を開いた。


「セシリアさん。まさかきみのような純粋な方が息子の妻になるなんてね。話を聞いた時には少々驚いたよ」


当主様は私がニコラ様の妻でいることに対して不満を持っているのだろうか…?

顔色を全く変えず、淡々と話す当主様に私は不安を覚えてしまう。


確かに私はニコラ様に相応しくないかもしれない。

それでも今は彼の傍にいたい。

これが彼との契約だから、それとも私の今の私の気持ちなのか分からない。


俯く私にの手を隣の席に座っていたニコラ様は優しく手を握った。

私は彼に目を向ける。

ニコラ様は強い目をして当主様を見た。

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