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新しい出会い

「あのアルジャーノ様の……」

「はい。そうですが……」


「ごめんなさいね。予想していなかったから、少し驚いてしまって…。あの方って結婚されていたのね。てっきり女性に興味が無いとばかり思っていたから…」


男の子の母親はハッとして慌てて私に謝罪をした。


「ごめんなさ…いえ、申し訳ありません……。

とんだ失礼な言葉を口にして。今のはどうかお忘れ下さい」


「いえ、そんな大丈夫です。旦那様には言いませんので安心して下さい」


「有難うございます…。実はこの村の者たちは領主様をあまり良く思っていない者達が大勢いるのです…」

「え…!それはどういうことでしょうか?」


私は驚き、男の子の母親に訊ねる。

男の子の母親は少し迷うように、やがて口を開いた。


「数週間前から大雨が降り続いて村で収穫出来る作物は僅かになってしまい、今度行われる予定の収穫祭りに捧げる豊作が少くなる可能性が出て来たのです。領主様は収穫祭を中断するように言われたのですが、村人達は昔から行われている伝統行事を中断するわけにはいかないと言って領主様と対立をし始めているのです…」


確か数日前に旦那様は仕事で出掛けた時に雨に打たれて帰って来ていた。

もしかしたら、この件と関わっていた可能性があるかもしれない…。


それに口は悪いけど彼は誰かの思いを簡単に踏みにじるような人ではない。


「せめて今畑が水浸しになっているので、水が引いてくれれば…何とかなったのですが……。このままでは収穫祭までは間に合いませんね…」


「収穫祭はいつ頃あるのでしょうか?」

「三ヶ月後になります」


私はその場からガタッと席を立ち上がり男の子の母親に訪ねた。


「すみません。その畑見せて貰っても良いでしょうか?」


村の畑に行くと畑は数日前の大雨で水浸しになっており、作物の葉も水を吸収し過ぎで萎れすぎてしまっていた。


私は作物の葉に手を触れて深刻な表情をして呟いた。

「これは確かに酷いわね…」


(このままの状態が続いてしまうと葉は枯れてしまい、死んでしまう…)


この畑だけではない。

それはこの村全体の畑も同じような現状が起こっていた。


「僕聞いてしまったんだ…。領主様はこのままでは僕達が食べる物に困るし、それに祭りにはお金が掛かるから、今年は諦めた方が良いって。でも村長達はそれに対して伝統だからって怒ちゃって……」


悲しそうに話す男の子に私は優しく彼の頭を撫でた。


「大丈夫よ。お姉ちゃんが何とかしてみせるから」

「本当?」

「ええ」


私は男の子に優しく答え、彼の母親に言った。


「すみません。この辺りで土地勘に詳しい人を紹介して頂いても宜しいでしょうか?出来たらその方に案内して貰いたいことがありまして」


「奥様…。何をなさるつもりですか?」

「『セグシアー』を探したいのです」

「それって…」


驚く男の子の母親に私は静かに告げた。


「それがあれば村の作物達を助けられるかもしれせん」


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