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真っ直ぐ向けられる視線に耐えられず、
俺は目を逸らす。
「・・・・・・嫌いなわけ、ないだろ。」
「・・・・・・ねぇ。目を見て、言って。」
いやいや、ダメだろ。
赤い目が発動したら、それこそどうなるか。
「お願い。聞きたいの。」
うぅ。
「一言で、めっちゃ頑張れるから。」
・・・・・・
杏奈と目を合わさず、首筋から覗く
内出血に目を向ける。
今さっきの嚙み痕は、
一回目のやつよりも、薄い。
吸った血の量は、多いのに。
これから、こいつの首に
キスマークが付いていくのか。
そう思うと、何か申し訳ない気持ちになった。




