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じっと、杏奈を見つめた。
俺の視線に気づいて、頬が
どんどん赤く染まっていく。
「・・・・・・何・・・・・・?」
「・・・・・・もう、演技、じゃないよな?」
「・・・・・・演技する必要・・・・・・
もう、ないよ。」
大きな瞳が、潤んでいる。
「・・・・・・血、もらうぞ。」
杏奈は何も言わず、頷く。
するりと、白くて小さな手が、
俺の手に絡まる。
恋人繋ぎ。初めてです。
杏奈は繋いでいない手で、髪を掻き上げた。
その仕草が、もう、ヤバくて。
エロい、と思うよりも、
首筋綺麗だな、と見入ってしまって。
気づけばもう、嚙みついていた。




