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「・・・・・・無理すんな。」
俺の方が、ヤバい。
「無理じゃないよ。」
じっと見つめて、杏奈は距離を詰める。
気持ちだけ身体を捻って、遠ざかる。
「いいよ、飲みたくねー。」
「ウソ。とても美味しかったんでしょ?」
「い、いいって。」
「飲んだ方が、楽になるよ?」
その言い方、
ヤバい薬飲まされる気分になりますよ?
実際、そんな気分なんだけど!
「あのな、もう言うけど、
理性が飛んじまう。それくらいに美味い。」
「えへへ、嬉しい・・・・・・」
「でも、でもな、それが好きに比例するかって言うと、
自分では分かんねーんだよ。」
「それもウソ。ホントは、分かってるでしょ?
飲みたくても心配して、止めてくれたもん。
自分の事を、想ってくれてるから・・・・・・」
「だ、だから・・・・・・」
心臓が、ヤバすぎる。




