72/646
2-28
・・・・・・
それは。
自然だと思うぞ。
俺だって、お前の立場だったら。
そう思う。
「でもね、大地のご両親に会って、
あなたに言われて・・・・・・
気づいたの。こんな事じゃ、ダメだって。
最後まで『吸血鬼』の事を信じた、
自分の両親に・・・・・・顔向けできないって。」
杏奈は、俺の左腕に
しがみついたままだ。そのままで、
めっちゃ近い距離で
こんなに長々と、話をする。
・・・・・・引っ掛かる事が、ある。
「・・・・・・なぁ。」
「・・・・・・ん?」
「演技、だったんだよな?
俺を大好きだとか、言ったのって。
復讐する為に、近づいて、
血を吸わせようとしたんだろ?」
そう。
正に、ハニートラップだった件。




