704/710
AL2−25
「······こちらこそ、です。
よろしくお願いします。」
お互いに、頭を下げ合う光景って。
朔耶くんから見たら、きっと
もどかしくて、焦れったいだろうな。
でも、これでいい。
僕と乾さんは、このままで。
じっと見上げてくる、彼女の瞳。
今、僕だけを映している。
どんな理由でも。
この瞬間が、在り続けるなら。
彼女に、触れることができるなんて。
夢みたいだ。
そっと、彼女の肩と頬に
手を添える。
ヤバい。気絶しそう。
「······大丈夫。」
囁きが、潤う彼女の唇から漏れる。
血狂いを起こした為に負った、トラウマ。
それを気遣っているのか。
「······すみません。
貴女の方が、怖いはずなのに。」
「いいえ。何も、怖くありません。」
今浮かべる、彼女の微笑みは。
いつもの、優しく隠すものではない。
「委ねます。貴方様に。」




