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AL2−22
「······乾さん。」
「はい?」
「着物、とても似合ってます。素敵です。」
「ふふっ。ありがとうございます。」
最初に、言うべきだったのに。
こういうところ、だよなぁ。
「貴也様こそ。この数年で、更に
ご立派になられました。」
「成長したのは、身長くらいですよ。」
「10センチほど、高くなられましたね。」
「伸びると思わなかったです。
見下ろす形になって、すみません。」
「そんな。謝るご必要ありませんのに。」
「ははっ」
「ふふっ」
いっぱい情けない姿を、彼女に
見られてきている。本当に、頭が上がらない。
「······」
なので、僕は自覚している。
本題に、入りやすいように。
前置きとして、生い立ちを話したのだと。
「貴重なお話を、ありがとうございます。
······力になりたいというのは、
僕の本心です。気を遣わないでください。」




