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AL2−21
糧。
確かに、そう。合ってはいるけど。
その言い方に、少し引っかかった。
「私という人間が、貴方に捧げられるものは
取るに足りません。いつも、
自らの在り方に葛藤しています。」
「取るに足りない、なんて······
そんなこと、ありません。」
伝えなければ。
「貴女が傍にいてくれたから······僕は、
取り戻すことができたんです。」
糧というだけでは、
表せないものがあるということを。
「感謝しか、ありません。」
「貴也様······」
「逆に僕は、貴女の力になりたい。」
少しでも、彼女の励みになるなら。
意思を込めて、彼女を見据えた。
「······そのお言葉だけで、十分です。
私は、幸せ者ですね。」
花が咲くように、明るい笑顔。
目の当たりにして、大きく揺れ動く。
乾さん。
幸せ者は、僕の方ですよ。




