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AL2−19
それに対して、彼女は笑みを浮かべる。
「貴也様と、お話したくて。」
言葉通りには違いない。
だけど、真の目的は。
優しい微笑みによって、隠されている。
「ソファーで、話しましょうか。」
「はい。失礼いたします。」
だけど、それでもいいと思える程。
僕は、この人と関われる時間が幸せだ。
ソファーへ静かに腰を下ろす乾さんを
見守った後、続いて隣に座った。
勿論、ある程度の距離を保っている。
近づきすぎると、僕の心臓が持たない。
彼女の視線は、真っ直ぐに
僕を捉えている。
その眼差しから逃れられず
見つめ返すと、ふわりと綻んだ。
「慰労会に間に合わなかった
お詫びとして、私の生い立ちを少々
お聞きくださいますか?」
······生い立ち?




