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AL2−16
時間も忘れて僕は、ソファーに腰を下ろして
一面に広がる景色を眺めていた。
日が沈み、街並みが暗闇に染まっていく中
様々な電灯が彩って、煌めき始める。
高い場所からの視界は、久しぶりだ。
風を切る感覚。
掴めそうに近い、満ちた月。
血狂いを起こす前は、自由に飛び回って。
闇夜の一部になる感覚が、心地よくて。
そんな時間が、好きだった。
このまま、溶け込みたい。
渇きを気にせずに。
ずっと、そう思いながら。
夜を過ごしていた。
今、その頃の感覚を、味わえている。
ただ、溶け込んで。漂いたい。
何もかも、忘れて。
どのくらい時間が経ったか、分からない頃。
コンコンコン、と
控えめなノック音が響いた。
我に返り、僕はドアへ目を向ける。




