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FL−24
バスローブを着る事に、違和感がない。
楽でいいな、と思うくらいに。
彼女も、その姿になっていたけど。
残像が発生したことで、
冷静に捉えてしまった。
よし。心も身体も清めた。
鏡に映る自分の顔、よし。だらけてない。
張り切ってバスルームから出ると、
彼女はソファーで景色を眺めていた。
夕焼けで赤く染まっていたのが、
夜景に切り替わっている。
俺は静かに、彼女の隣へ腰を下ろす。
だが、こちらへ顔が向かなかった。
美しく可憐な横顔を、ただ見つめる。
「······夜景、綺麗だね。」
ぽつりと、桜色の唇から零れた。
お前の方が、綺麗だよ。
普通なら、その言葉を飲み込んで
彼女に合わせていた。
でも。
「杏奈の方が、綺麗だよ。」
今は、景色なんてどうでもいいってことを
伝えたい。




