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FL−17
実のところ、この専用スイートルームは
あれから使っていない。
会長は遠慮するなと言っていたが、
身分相応ではないと
互いに自覚していたからだ。
今でも、そうなんだけどな。
だけど。思い直した。
せっかく頂いているものを、
使わないのはどうかと。
だから今回、卒業祝いと進学祝いで
使ってみようと、踏ん切って
杏奈に申し出た。
今でも、焼き付いている。
真っ白な雪が、赤く染まるように。
頬を染めて、微笑みながら頷いた
彼女の表情が。
これは。オッケー♡ということなのか。
一線超えちゃおう♡ということなのか。
勘違いしちゃってもいいかな?♡
いろいろ卒業しちゃおう♡えへ♡
と、妄想が、膨らむに膨らんだ。
洋室と和室、どっちを使うと言わずに
俺たちは自然と分かれた。
懐かしいな。この畳の、い草の匂い。
ごろんと大の字になっても、
ぶつかる物は何もない。
はーっ······
いいなーっ······




