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拍手の中、戻っていくと
優しく微笑む杏奈の表情が映った。
彼女は、俺だけを真っ直ぐに。
大きな瞳に、焼き付けるように。
見つめている。
あぁ、杏奈。そうやって、いつまでも
俺だけを見ていてくれ。
失望させたりは、しないから。
「それでは!大いに食べて飲んでくれ!
心ゆくまで、語り合うのも良い!
終日、このナイト・オブ・ルビーは
協会が貸し切っているからな!」
おぉっ!すげぇ!
貸し切ってんのかよ!
しかも、さっきからすげぇ
いいにおいがするんだよな。
あっ。壁際に、様々な料理が並んでる。
いわゆる、ビュッフェというやつか。
うほぉ。やべぇっ。楽しくなってきた。
「朔っ!カッコよかったわぁっ!」
うぉわっ。奏子っ。抱きつくなっ。
「もう泣いちゃったわよぉっ。」
「立派だった。朔耶。」
親父。
「何も、立派じゃねーよ。」
いい言葉が、見つからなかった。
素直に、吐き出しただけだ。




