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21-20


······あれ?


「杏奈は、どこに?」


乾さんは人差し指を立て、そっと

ふっくらな妖艶の唇に当てる。


「どうか、運んであげてくださいな。」


その指で指し示されたのは、

待合用のソファーがある場所だった。


ここからだと、背もたれから

ちょこんと出る頭しか見えない。

でも、確かに杏奈だ。


そっと近づくと、瞼を閉じていて

寝息が聞こえた。



眠っているのか。そうだよな······

かなり疲れただろう。なんだかんだで

血もいただいてしまったもんな。


······美しい寝顔。かわいい。

いや、ホント、長いまつげだな。



「朔耶。先に車で待っている。

 アンナちゃんを頼むよ。」


疲れを感じさせないほど優雅に微笑んで、

親父は出ていった。

それを乾さんは、深々と頭を下げて見送る。



長い1日だったな······


とりあえず、解決だよな。

これで、杏奈が狙われる心配は

ないだろう。他の『聖職者』も。




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