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俺は急いで、リビングの電気を点けた。
昌耶が腕を掴んでいる、そいつは。
眠っているはずの、杏奈だった。
「日下部・・・・・・?」
見たことがないくらいに、顔を歪ませている。
親父を、睨みつけている。
何だよ、この状況。
「放してっ!!」
甲高い声が、リビングに響き渡った。
「・・・・・・もしかして、君は・・・・・・」
昌耶は杏奈を見据えて、
驚いた表情を浮かべている。
奏子は、二人の側に落ちている短剣を
目にして、はっとした。
「あなた、まさか・・・・・・」
杏奈は、声を荒げて言葉を放った。
「吸血鬼なんてっ・・・・・・!!
みんな、死ねばいいのよっ!!」




