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「ひさやさまぁ······」
あぁ。またさらに激シブイケボで、
トドメ刺されてる。目がハートマークだ。
「兎川が見据える未来に、賭けよう。
······貴也。」
その呼び掛けで、貴也は我に返った。
「古いしきたりに則った故に、
突き放す態度を取った。緋葉も、そうだ。
心の内では、泣きながらお前と別れた。
肉親の情を押し殺してまで、
吸血鬼たるものの姿に拘った結果だ。」
······何だと?それじゃあ······
「お前を孤独にさせ、
寂しい思いをさせた事実は消えん。
許してもらおうとは思っていない。」
「······」
「お前は、お前の道を行け。
もう立派に、意見できるのだから。」




