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ひゅうぅ、と、口笛を鳴らすツジー。
そんなことお構い無しに、続ける二人。
俺は、ハッとして貴也を見た。
固まっている。いや、
釘付けになっているのか?瞬きもしない。
表情からは、全く読み取れんぞ。
でも、分かる。
俺だって、昌耶と奏子の濃厚ラブシーンを
目の当たりにしたら、固まる。真っ白になる。
しかも、こんな真面目な話してる最中で。
やっと離れた後に、貴也の親父は
俺を見て、ふっ、と笑った。
「さっきは、見せつけられたからな。
お返しだ。」
いや。いやいや。そんな激シブで言われても。
なんで、チューしたんっすか。
緋葉さん、わけ分からず
トロトロになっちまってるけど。
「私は、死を選ぶよりも
愛する者と共に生きる。
どんな姿になっても、な。」




