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薬の名前、初めて聞いた。何の略だろ?
「現時点でいえば、
赤い目の機能は失われますが、
本来の力を取り戻す事ができます。」
「赤い目を失う?
ハッ、そんなの死んだも同じよ。」
ずっと黙っていた緋葉さんが、
やっと口を開いた。
「誇りまで失って、生きたいとは思わない。
死を選んだお前以外の“綾辻”は、
賢明だったんじゃないの?
捻じ曲げてまで何をしたいってわけ?」
「時代とともに変わらなければ、
存続はできない。そう言っているだけ。
赤い目は、そんなに必要かね?
私は、それがある事態歪んでいると
考えるのだが。」
······
まさか、ツジーも
俺と同意見だったなんて。
そうだ。思考を奪って従わせる
赤い目なんて、必要ない。
「あり過ぎる力は、破滅を導く。
人間に寄り添えるくらいで丁度いい。
それが分からないのであれば、
ど〜ぞ出ていってくれたまえ。
私は止めないよーん。」
 




