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「“綾辻”だと?その姓を継ぐ眷属は、
絶滅しているはずだ。」
······えっ?
「おぉ、そのとぉ〜り。私以外、皆
血狂いにチキって死を選びました。」
「お前が、空詞渡と並ぶ
高貴な血筋であるわけがない。虚言だ。」
「それもご存知なのは、流石で〜す。
私も、虚言ならいいと思うのですがねぇ。」
んっ?さらに、不可解だぞ?
事実を知っていそうな親父まで、
めちゃくちゃ驚いているし。
虚言、なのか?
「聖弥。事実なのか?」
「残念ながら、真実だ。
この場を借りて打ち明けよう。」
この場で驚いていないのは、
会長ただ一人だった。
「“綾辻”は、“空詞渡”と深い縁のある血筋だ。
事実を伏せたのは、あまりにも
不名誉すぎる終わり方を選んだと、
綾辻君自身が悔やんでいるからだ。」




