630/646
21-7
「何言ってんだよ。それは勿論······」
「君は正統な、“河野”の子息だ。
過ちを咎め前に進んでいる君が、決して
疎外されることはない。」
親父、ナイス。そう。
何も引っかかることは、ない。
「······昌耶、さん······」
「しきたりを重んじる“河野”だから、
柔軟すぎる会長の考えを
受け入れられなかった。その不一致で、
離れる結果になってしまったんだ。
······固執するのも、吸血鬼の尊厳を
護ろうとしているからだと思う。
それで、二人に冷たい態度を
取られたとしても、
負い目を感じることはないよ。」
「······
はい。ありがとうございます。」
しきたり、か。
その重い鎖のせいで、家族という意識を
疎外しているとしたら。
取っ払いてぇな。何としても。




