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表示パネルが“10”をカウントして、
エレベーターの扉が開く。
すると、笑みを浮かべる会長の姿と
その後ろに、従うように立つ
スーツの男が二人いた。
一人は、俺の親父の昌耶だ。
そして、もう一人は······
ツジーじゃねぇか。
「御苦労であった。朔耶。貴也。」
微笑む会長に出迎えられて、俺たちは
会釈をした後エレベーターから出る。
「よく来てくれた。河野 久也。」
呼びかけに応じるように、貴也の親父は
ゆっくり降りた。
「私の意思、履き違うなよ。
空詞渡 麗子。
大地の息子に免じて出向いた事、
心得た上で語れ。」
······ん?なんだ、その名前?誰?
「私の真名を口にするという事は、
眷属として出向いたと受け取るぞ。」




