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素直に、そいつは立ち上がる。
解ける様子が、ないな。
「このままでよろしいかと。ふふっ。
ついておいで。」
乾さんが歩いていくと、そいつも続く。
確かに。正気に戻ったら、
面倒くさくなりそうだ。
俺は、固まる貴也の元へ行った。
······だはっ!顔真っ赤だっ!
「良かったな。」
こそっと耳打ちすると、びくっとして
こそこそ言い返してきた。
「い、いや······あれは、その、乾さんの
母性本能だよ······」
「母性本能だけじゃねーと思うぞ?」
「そうなんだって······」
こそこそ話す俺たちを横目に、
杏奈は笑って歩いていく。
「お前を、一人前として見てくれたんだ。
素直に受け取れ。貴也。」
そう。乾さんを動かしたのは。
貴也の、揺るがない姿勢があったからだ。
「······僕、まだまだ頑張るよ。」
ははっ。いい笑顔。そうだよっ。
それでいい。
俺だって。まだまだ頑張るぞ。
ここまで読んでくださり、
本当に本当にありがとうございます♡
m(_ _)m。・゜・・゜・。∞
譜に宿りての方へ潜ります。
温かく支えてくださるみなさま、
心より深く感謝いたします
m(_ _)m。・゜・・゜・。∞




