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「······素敵だな······」
貴也が、言葉を漏らした。
「はい。素晴らしいです。」
それに、乾さんも続く。
「······」
緋葉さんは、何とも言えない表情で
俺たちに目を向けていた。
「······お前たちの姿が、
吸血鬼の未来に繋がるというのか。」
激渋なイケボが、響き渡る。
「兎川は、実現できるというのか。」
会長の意思だけでは、実現は難しいだろう。
そして、身内同士で争っていたら。
絶滅するのは、目に見えている。
でも。俺たちが、
同じ方向を見据えていたら。
「貴方方のご理解が、必要です。」
凛とした乾さんの声は、人気のいない街中に
よく響いた。
「是非、会長と直接
お話し合いください。久也様。
よろしくお願いいたします。」
 




