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「口では、何とでも言える。
兎川の言いなりになっていたら、
我々の尊厳は失われる一方だ。」
「尊厳なんて、気にしているの?
そんなの、捨てるべきだよ。」
「犬に成り下がったお前には、
理解できんだろうな。」
「そういう考えが、破滅に導くって
どうして分からないの?」
「私の血を引いているとは、思えんな。」
「思わなくていいよ。でも、
状況だけは理解してほしい。
遺伝子学上、親子なら。」
······はぁっ。くっそっ。
どうして、こんな悲しすぎるやり取りに
なってしまうんだ?
「······いいだろう。」
貴也の親父は、再び俺に目を向ける。
「お前の言う事が真実なら、
今この場で、見せてもらおう。
半人吸血鬼が、破邪の血を
思う存分飲むところを。」




