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「威勢のいい少年。お前に免じて
現れたが······何者か。」
ここで名乗らないと、
ただの礼儀知らずだな。
「大地 朔耶。貴也のダチだ。」
「大地。そうか、お前が······」
「半人吸血鬼。」
今では、それで良かったと
思えるようになった。
「朔耶くんは、僕らの希望なんだよ。」
言葉を投げた貴也に、
貴也の親父は目を向ける。
冷視。とてもじゃないが、
息子に向けるものではない。
「半人が、希望というのは?
全く理解できんが。」
「僕も最初、そう思ったんだよ。
でも、違った。朔耶くんは、
血狂いを起こさずに······
吸血鬼本来の力を発揮できる。」
信じられない。
そんな風に、その二人は目を見開いた。
「はぁっ?!
またアンタ、デタラメをっ······」
「どういう事だ?」
「しかも、噛んで、思う存分血を吸える。
でもそれは、朔耶くんの唾液に
特殊な治癒効果があるのと、
最高の破邪の血を持つ
日下部さんが相手だから、可能なんだ。」




